六訂版 家庭医学大全科 「腸管癒着症」の解説
腸管癒着症
ちょうかんゆちゃくしょう
Intestinal adhesion
(食道・胃・腸の病気)
どんな病気か
腸の癒着によるさまざまな症状が現れる病気で、最も激しいものは
原因は何か
おなかを切る手術のあとに必ず生じる腸と腹の壁、腸同士の癒着が最も一般的です。ほかに、
症状の現れ方
腹痛や腹部違和感などです。腹痛の程度は、激しい腹痛から鈍痛などの愁訴までさまざまです。吐き気を伴うこともあります。症状が突然悪化した場合は、腸閉塞を考えます。
検査と診断
診断は、本人の自覚症状から行います。癒着の程度や場所は、CTや超音波検査でわかることもありますが、まれであり、詳細までは判断できません。
最終的には開腹しないと明らかにはできませんが、特殊な場合を除いてその必要はありません。
腸管癒着症と同様に軽い腹痛や腹部の違和感で発症する病気として、胃がんや大腸がん、肝臓疾患などの重い病気もあるので、これらと区別をする検査が必要なこともあります。
治療の方法
特殊な治療はなく、便秘に注意したり、適度な運動をするなど生活習慣上の注意が中心になります。便秘時に症状が強い時には消化剤や緩下剤、場合によって漢方薬を処方することもあり、人により明らかに効果を認めることもあります。
病気に気づいたらどうする
腹痛などの症状のある時は、一度は病院を受診し、症状を話して、原因が何かを検査する必要があります。とくに、おなかの手術をしたことがない人は受診すべきでしょう。検査によって、症状が癒着によるものだと診断された場合には、治るわけではありませんが、前述のような生活での注意が必要になります。
杉山 貢
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報