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自我心理学 じがしんりがく ego psychology

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

自我心理学
じがしんりがく
ego psychology

経験的な自我を中心に人間の行動を分析する心理学の一分野。精神分析学的な心理学で,S.フロイトのそれは深層心理学ともいわれる。フロイトによれば,自我はその発生する基盤となる無意識的な原我 (→イド ) と超自我および外界との三者の関係を調整する役割をになう,比較的消極的な意味をもつ場合が多いとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

自我心理学
じがしんりがく
ego psychology

自我の適応機能を強調する精神分析の一学派。イギリス対象関係論フランスラカン派と対照的な立場にたっている。フロイトの前期の心理学は無意識を問題にしていたので深層心理学とよばれるのに対して、後期に至って自我が問題にされるようになると、前期と区別して自我心理学とよばれる。しかし、一般にはフロイト正統派であることを主張するアメリカハルトマンHeinz Hartmann(1894―1970)を中心とした精神分析の流れのことを自我心理学とよぶことが多い。自我心理学によれば、自我は不安や心理的葛藤(かっとう)に基づいて形成されるのでなく、むしろ生来的、自生的なものと考えられ、葛藤とは関係なく自我がつくりあげられ、自律的であるとされる。しかし社会的に隔離され、適切な刺激を欠き、親子関係が不適切であれば、自我は発達しなくなる。アメリカのマーラーMargaret S. Mahler(1897―1985)は、乳幼児が母親から分離―個体化する過程について観察し、自我の発達が母子間の適切な情緒的コミュニケーションによって規定されることを明らかにした。自我は知覚し、判断し、決定を下し、環境の変化に応じて適応していく機能を果たすものであると主張される。自我心理学は精神分析と一般心理学を結び付けた功績は大きいが、こうした自我の考え方がフロイトの正統であるか否かについては議論の分かれるところである。フランスの分析家ラカンは、自我心理学を、適応だけを顧慮する心理学として批判する。精神分析は生物学ではなく本来の意味で心理学にならなければならないというのである。こうした考え方のなかには、自我心理学が問題とする自我でなく、主体と自我の概念をそれぞれ明確にしようとする傾向が認められる。[外林大作・川幡政道]
『ジャック・ラカン著、ジャック・アラン・ミレール編、小出浩之・鈴木國文・小川豊昭・南淳三訳『フロイト理論と精神分析技法における自我』上下(1998・岩波書店) ▽マーガレット・マーラー他著、高橋雅士・織田正美・浜畑紀訳『乳幼児の心理的誕生――母子共生と個体化』(2001・黎明書房) ▽小此木啓吾著『現代の精神分析――フロイトからフロイト以後へ』(講談社学術文庫)』

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世界大百科事典内の自我心理学の言及

【精神分析】より


【フロイト以後の精神分析】
 フロイトは自我を,エスの欲動を制御し,超自我の圧力に対しながら外界との適応を図るものとしていわば受身的にとらえたが,自我機能そのものについての検討は徹底しないままに終わった。このフロイトの自我研究を継承発展させ自我の積極的機能を明らかにした代表者は,フロイトの娘であるA.フロイト,ならびにH.ハルトマンらであり,彼らにはじまる自我心理学ego psychologyは,以後アメリカにおける精神分析学の主流となった。この系譜に属するE.H.エリクソンの自我の心理的‐社会的発達理論,すなわちアイデンティティ形成理論は,臨床的にも社会学的にもきわめて有用な概念である。…

【ハルトマン】より

…精神分析的自我心理学を発展させたオーストリア出身の精神分析医。ウィーン生れ。…

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