翻訳|silver
金属元素鉱物の一つ。銀(Ag)の鉱石鉱物。初生のものと、初生銀鉱物の分解によって生じたものとがある。自形はまれであるが、立方体、正八面体、斜方十二面体をなす。多くは髭(ひげ)状~毛状、皮膜状、粒状をなすが、空気中で表面が錆(さ)びやすい。日本では、北海道豊羽(とよは)鉱山(閉山)をはじめ、兵庫県川辺(かわべ)郡猪名川(いながわ)町多田鉱山(閉山)、山口県美祢(みね)市大和(やまと)鉱山(閉山)などから産したものが有名。
[加藤 昭 2016年9月16日]
自然銀
英名 silver
化学式 Ag
少量成分 Au,Hg,Cu,Sb,As,Bi
結晶系 等軸
硬度 2.5~3
比重 10.5~14.4
色 銀白
光沢 金属
条痕 銀白
劈開 無
(「劈開」の項目を参照)
その他 2H型,4H型の2種の六方多型相が知られている。比重の14.4はAg-Au合金で1:1のもの
silver
化学組成Agの鉱物。金(Au)とは連続固溶体を形成し,Hg, Cuとも合金をつくる。silver-3C, silver-2H, silver-4Hの3種の多型が知られている。通常自然銀と呼ばれるものはsilver-3Cで,立方晶系,空間群Fm3m, 格子定数a0.40862nm, 単位格子中4原子含む。融点960.6℃。銀白色不透明で金属光沢を有する六面体,八面体,十二面体結晶だが,通常は毛状,樹枝状,箔状,苔状などで,灰~黒色に変色している。条痕銀白色。{111}で双晶を形成。劈開なし,断口切刻状,延性や展性に富む。モース硬度2.5~3,ビッカース硬度VHN10055~63,比重10.50。反射顕微鏡下ではクリーム色を帯びた輝白色だが,空気中ではクリーム~桃色,さらに褐色へと変化する。反射能94%,等方性で多色性や内部反射なし。硝酸に溶ける。中低温熱水鉱床,黒鉱鉱床および各種銅鉱床の酸化帯に産する。銀の鉱石鉱物。名前の由来は不明。なお,silver-2Hは六方晶系,格子定数a0.293nm, c0.479,比重10.11。silver-4Hは六方晶系,空間群P63/mmc,格子定数a0.28862nm, c1.0000,単位格子中4原子含む。比重9.93。
執筆者:青木 義和
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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…この現象は古くから経験的に知られており,飲料水の腐敗防止に銀製容器が,また負傷者の手当に銀箔が使用されていた。【水町 邦彦】
[製法]
銀の鉱物は輝銀鉱Ag2S,角銀鉱AgClが主であるが,金との合金(エレクトラムelectrum)の自然銀としても産出する。しかし銀を採取できる銀鉱石はまれで,金の鉱石または銅,鉛,亜鉛の硫化物鉱石中に含有されるものから,これら金属の製錬の際に副産される。…
…銀を数%以上含む鉱物は約60種知られている。重要な銀鉱物としては,自然銀native silver Ag,輝銀鉱argentite Ag2S,角銀鉱cerargyrite AgCl,ナウマン鉱naumannite Ag2Se,安銀鉱dyscrasite Ag3Sb,ジャルパ鉱jalpaite Ag3CuS2,硫ゲルマン銀鉱argyrodite Ag8GeS6,硫シャク(錫)銀鉱canfieldite(別名,カンフィールド鉱) Ag8SnS6,ゼイ(脆)銀鉱stephanite(別名,ゼイ安銀鉱) Ag5SbS4,濃紅銀鉱pyrargyrite Ag3SbS3,淡紅銀鉱proustite Ag3AsS3,雑銀鉱polybasite(別名,輝安銅銀鉱) (Ag,Cu)16Sb2S11,ヒ(砒)雑銀鉱arsenpolybasite (Ag,Cu)16As2S11,ヘッス鉱hessite(別名,ヘッサイト,テルル銀鉱)Ag2Teなどがある。このほか四面銅鉱や方鉛鉱には銀を含むものがあり,鉱床内に多産する場合にはシルバーキャリアとして重要視される。…
…30種以上の元素鉱物が知られている。元素鉱物には,自然金Au,自然銀Ag,自然銅Cu,自然鉄Fe,自然ニッケル鉄(Ni,Fe),自然白金Pt,自然ルテニウムRu,イリドスミン(Os,Ir),オスミリジウム(Ir,Os)などの金属元素鉱物,自然ヒ(砒)(別名,自然ヒ素)As,自然アンチモンSb,アレモン鉱AsSb,自然ソウ鉛Bi,自然テルルTeなどの半金属元素鉱物,および自然硫黄S,グラファイトC,ダイヤモンドCの非金属元素鉱物の3亜類がある。自然金は,各種金銀鉱床(熱水鉱脈鉱床,接触交代鉱床)中におもに石英に伴われて産する。…
※「自然銀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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