自然銀(読み)シゼンギン(その他表記)silver

翻訳|silver

デジタル大辞泉 「自然銀」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐ぎん【自然銀】

天然単体状態で産する銀。金属光沢のある銀白色結晶。普通は灰色黒色を呈している。

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精選版 日本国語大辞典 「自然銀」の意味・読み・例文・類語

しぜん‐ぎん【自然銀】

  1. 〘 名詞 〙 天然に産する銀。金、水銀などの不純物を含み、金属光沢を有し空気中で変色しやすい。線状、苔状、樹枝状などで鉱脈中から産する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自然銀」の意味・わかりやすい解説

自然銀
しぜんぎん
silver

金属元素鉱物の一つ。銀(Ag)の鉱石鉱物。初生のものと、初生銀鉱物の分解によって生じたものとがある。自形はまれであるが、立方体正八面体、斜方十二面体をなす。多くは髭(ひげ)状~毛状、皮膜状、粒状をなすが、空気中で表面が錆(さ)びやすい。日本では、北海道豊羽(とよは)鉱山閉山)をはじめ、兵庫県川辺(かわべ)郡猪名川(いながわ)町多田鉱山(閉山)、山口県美祢(みね)市大和(やまと)鉱山(閉山)などから産したものが有名。

加藤 昭 2016年9月16日]



自然銀(データノート)
しぜんぎんでーたのーと

自然銀
 英名    silver
 化学式   Ag
 少量成分  Au,Hg,Cu,Sb,As,Bi
 結晶系   等軸
 硬度    2.5~3
 比重    10.5~14.4
 色     銀白
 光沢    金属
 条痕    銀白
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   2H型,4H型の2種の六方多型相が知られている。比重の14.4はAg-Au合金で1:1のもの

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百科事典マイペディア 「自然銀」の意味・わかりやすい解説

自然銀【しぜんぎん】

天然に産する銀。熱水鉱床に産し,鉱床の酸化帯において樹枝状,針金状を呈することがある。銀はふつう化合物として産し,自然銀はむしろ例外。金とは固溶体を作り,しばしば5〜30%の水銀を含む。そのほか少量の銅,鉄,アンチモンなども含む。等軸晶系。比重10.50,硬度2.5〜3。
→関連項目元素鉱物

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世界大百科事典(旧版)内の自然銀の言及

【銀】より

…この現象は古くから経験的に知られており,飲料水の腐敗防止に銀製容器が,また負傷者の手当に銀箔が使用されていた。【水町 邦彦】
[製法]
 銀の鉱物は輝銀鉱Ag2S,角銀鉱AgClが主であるが,金との合金(エレクトラムelectrum)の自然銀としても産出する。しかし銀を採取できる銀鉱石はまれで,金の鉱石または銅,鉛,亜鉛の硫化物鉱石中に含有されるものから,これら金属の製錬の際に副産される。…

【銀鉱物】より

…銀を数%以上含む鉱物は約60種知られている。重要な銀鉱物としては,自然銀native silver Ag,輝銀鉱argentite Ag2S,角銀鉱cerargyrite AgCl,ナウマン鉱naumannite Ag2Se,安銀鉱dyscrasite Ag3Sb,ジャルパ鉱jalpaite Ag3CuS2,硫ゲルマン銀鉱argyrodite Ag8GeS6,硫シャク(錫)銀鉱canfieldite(別名,カンフィールド鉱) Ag8SnS6,ゼイ(脆)銀鉱stephanite(別名,ゼイ安銀鉱) Ag5SbS4,濃紅銀鉱pyrargyrite Ag3SbS3,淡紅銀鉱proustite Ag3AsS3,雑銀鉱polybasite(別名,輝安銅銀鉱) (Ag,Cu)16Sb2S11,ヒ(砒)雑銀鉱arsenpolybasite (Ag,Cu)16As2S11,ヘッス鉱hessite(別名,ヘッサイト,テルル銀鉱)Ag2Teなどがある。このほか四面銅鉱や方鉛鉱には銀を含むものがあり,鉱床内に多産する場合にはシルバーキャリアとして重要視される。…

【元素鉱物】より

…30種以上の元素鉱物が知られている。元素鉱物には,自然金Au,自然銀Ag,自然銅Cu,自然鉄Fe,自然ニッケル鉄(Ni,Fe),自然白金Pt,自然ルテニウムRu,イリドスミン(Os,Ir),オスミリジウム(Ir,Os)などの金属元素鉱物,自然ヒ(砒)(別名,自然ヒ素)As,自然アンチモンSb,アレモン鉱AsSb,自然ソウ鉛Bi,自然テルルTeなどの半金属元素鉱物,および自然硫黄S,グラファイトC,ダイヤモンドCの非金属元素鉱物の3亜類がある。自然金は,各種金銀鉱床(熱水鉱脈鉱床,接触交代鉱床)中におもに石英に伴われて産する。…

※「自然銀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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