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自閉症(自閉性障害) じへいしょうじへいせいしょうがいAutistic Disorder

家庭医学館の解説

じへいしょうじへいせいしょうがい【自閉症(自閉性障害) Autistic Disorder】

[どんな病気か]
 3歳以前に、明らかになる発達の障害です。①対人関係の障害、②言語発達の障害、③常同行動(じょうどうこうどう)(同じ行動をくり返す)ないし特定のものを同じままにしておこうとする執着的な行動の3つの特徴をもっています。
 具体的には、1歳を過ぎるころから抱き上げてもしがみつこうとしない、親への愛着が乏(とぼ)しいようすがみられ、2歳ころには呼びかけに反応しない、視線が合わない、けがをしたりしたときに助けを求めに母親のところへ行かないなど、人への関心が希薄です。
 コミュニケーション手段としての言語発達は遅れ、甲(かん)高い声やオウム返しことばなどの特徴をもち、独特なことばの使い方をし、模倣(もほう)・身ぶりによる非言語的コミュニケーションも独特で一風変わっている感じがあります。こだわりや常同行動はかなり小さい時期からみられ、たとえば買い物へ行くときにいつも必ず同じ道順をたどることを強要したり、物の部分にとらわれていつまでも換気扇(かんきせん)だけを眺(なが)めていたり、花瓶(かびん)がいつもとちがう場所においてあるなど、環境のささいな変化に著しい心痛を示すなどです。
[原因]
 脳の認知機能の障害と考えられています。見たり、聞いたり、さわったりして得た知覚情報を処理する過程に障害があり、物事の全体的な意味や文脈の理解が悪く、部分や形、周囲とのコントラストのはっきりしたものが目に入りやすい傾向があります。注意力にも障害があり、情報源から重要なことだけを抽出することができず、1つのものに強い注意を向け、パターンの変化には激しく混乱してしまいます。
[検査と診断]
 保健所の乳幼児健診などで気づかれることが多いようです。小児科医、児童精神科医の診察を勧められた場合は、就学前には受診してください。知能検査、脳波検査が必要です。
 自閉症児は言語性知能指数が動作性知能指数より低く、ことばを使って考えることは困難ですが、視空間を使って答える課題では年齢に近い水準を示します。脳波異常は約30%にみられます。また、自閉症児の10~20%にてんかん発作がみられるとされ、てんかん発作の初発は幼児期から思春期の間に現われます。
[治療]
 現在のところ、自閉症を根本的に治療することはできません。発達に障害をもった子どもとしての発育の支え、教育的対応をしていく必要があります。なお、てんかん発作の出現、激しい多動や自傷行為、攻撃的行動のみられるときには薬物療法が行なわれます。
[日常生活の注意]
 自閉症児のもつコミュニケーション能力や社会的認知の障害は、仲間関係の形成を非常に困難なものにします。就学後は、適応障害をおこす子どもが少なくありません。低学年では多動、こだわり、パニックなどがよくみられます。
 小さい時期にかんしゃくやパニックをくり返す場合、親は振り回されないようにして、泣いたり叫んだりしてわがままが通るという状態を習慣化させないことが、適応力を高めるのに重要です。
 思春期になると心身症(しんしんしょう)や強迫症状・不安など神経症様症状、被害妄想(ひがいもうそう)や過敏性をもった精神病様状態、自傷行動や攻撃性がみられることがあります。このようなときは精神科を受診してください。日常的には、その子どもの認知の障害をよく理解して、むやみに叱(しか)ったりしないことがたいせつです。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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