臭化水素酸(読み)しゅうかすいそさん(その他表記)hydrobromic acid

改訂新版 世界大百科事典 「臭化水素酸」の意味・わかりやすい解説

臭化水素酸 (しゅうかすいそさん)
hydrobromic acid

臭化水素HBrの水溶液。臭化水素を水に溶かすと得られる。また,臭化カリウム溶液硫酸を加え,75℃以下で作用させ蒸留すると臭素を含まない定沸点臭化水素酸が得られる。無色強酸で,塩酸より酸化されやすいので,やや還元性を示す。0.1N溶液の電離度93.5%。水との共沸混合物は47.63%で沸点は124.3℃。最も濃厚なものは臭化水素82%を含み,その組成はおよそHBr・H2Oに相当する。塩素,濃硫酸を加えると臭素が遊離する。また空気や光によっても臭素が遊離し溶液は着色する。臭素は臭化水素酸によく溶け,三臭化物イオンBr3⁻,五臭化物イオンBr5⁻などとなる。アンプルに入れ冷暗所に保存する。
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化学辞典 第2版 「臭化水素酸」の解説

臭化水素酸
シュウカスイソサン
hydrobromic acid

臭化水素の水溶液.臭化水素の水への溶解,臭素水の水素,硫化水素二酸化硫黄などによる還元,臭化カリウムの濃硫酸溶液の蒸留により得られる.無色の強い酸でやや還元性がある.水との共沸混合物の組成は47.63% で,124.3 ℃ で沸騰する.もっとも濃厚なものは臭化水素を82% 含み,その組成はおよそ

(HBr + H2O)
に相当する.臭素は三臭化物イオン,五臭化物イオンとなり,大量に溶解する.多くの金属と水素を発生して反応し,臭化物となる.また,酸化物,過酸化物,塩素により酸化されて臭素を遊離する.光,空気によって分解され,臭素を遊離する.アンプルに入れ,冷暗所に貯蔵する.分析化学用試薬,臭化物製造原料,有機合成,医薬品の製造などに用いられる.[CAS 10035-10-6:HBr]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臭化水素酸」の意味・わかりやすい解説

臭化水素酸
しゅうかすいそさん
hydrobromic acid

臭化水素の水溶液。実験室では硫酸に臭化カリウムを加えて製造する。無色ないし淡黄色であるが,空気,光によって褐色を帯びる。希酸,濃度の高い酸を蒸留すると,いずれも組成 47.63%の酸が残り,124.3℃の定沸点を示す。強酸。飽和溶液は0℃で 68.85%,25℃で 66%の臭化水素を含む。化学分析,有機合成に用いられる。

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