毎年秋、10月から11月にかけて、文化庁主催で行われる芸術の祭典。1946年(昭和21)、当時の文部省に芸術課が新設され、作家今日出海(こんひでみ)が初代課長に就任、その発案・提唱により、芸術振興による文化向上を目ざして発足。同年9月、10月、旧帝国劇場と東京劇場で歌舞伎(かぶき)、新劇、オペラ、バレエなどの各種舞台芸術が一般に公開されたのが第1回であった。当初は予算も少なく小規模であったが、1949年からは文部省主催公演のほか参加公演の審査コンクール制度を設け、映画、放送、レコードなど部門も年々増加して活発化した。1968年からは文化庁の主管となり、年度ごとに組織される芸術祭執行委員会がその企画・運営にあたっている。委員会は、主催公演の企画、協賛公演の指定委嘱、参加公演の審査選考などを行い、参加公演のうちとくに優れた成果をあげた者に、文部科学大臣から芸術祭賞が贈られる。
1985年、昭和60年度(第40回記念)芸術祭を機会に抜本的な改善が行われ、芸術祭は演劇、音楽、舞踊、演芸の実演4部門を中心とした芸術の祭典であることが強調され、従来の映画、放送(ラジオ、テレビ)、レコード各部門は、新設の年間賞(文化庁芸術作品賞)の対象とすることになり、また県や市との共催による芸術祭地方開催が始まった。なお、1971年には芸術祭を母体に移動芸術祭が発足、全国各地の公立文化施設との連携で、舞台芸術の地方公演が大幅に拡充された。
1995年度(平成7)以降にもいくつかの改善が行われ、この年から賞の内容が次のようになった。演劇、音楽、舞踊、演芸の4部門は、芸術祭大賞、優秀賞、新人賞がそれぞれ授与される(映画等の年間賞は廃止)。翌1996年度からは放送(テレビ、ラジオ)が加わり、作品賞として大賞と優秀賞が、個人賞として放送個人賞が授与されることになった。1999年度にはレコードも加わり、大賞と優秀賞が授与されている。
[田中英機]
文化庁(1967年までは文部省)が主催して毎年秋に行われる芸術の祭典。優れた作品をひろく一般に公開して芸術鑑賞の機運を醸成し,また,芸術家に意欲的な公演発表をうながして芸術の創造と進展に寄与し,国民の文化の向上をはかることを目的としている。1946年から始められた。毎年10月1日から11月15日の1ヵ月半を芸術祭期間とし,その企画と運営は学識経験者などで構成された芸術祭執行委員会が行う。演劇,能楽,音楽,舞踊,民俗芸能,大衆芸能など舞台芸能には,主催公演,協賛公演,参加公演の3種があり,参加公演は審査を経たうえで芸術祭大賞と芸術祭優秀賞が与えられる。また,映画,ラジオ,テレビ,レコードの参加もあり,これにも賞が与えられる。芸術祭は東京を中心としているが,78年から大阪でも主催公演が行われるようになり,その規模がしだいに広がってきている。第2次世界大戦後の芸術界の発展に大きな貢献をしている。
執筆者:高橋 秀雄
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