出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
神奈川県横須賀市佐原町茅山(現,佐原5丁目)にある縄文時代早期の遺跡。久里浜港の北西約2km,平作川の沖積地に向かって西から半島状に突出した舌状台地の先端付近に位置する。標高約40m,北斜面に堆積したカキを主とする純鹹(じゆんかん)貝塚で,1897年にはじめてその所在が学界に報告された。以後,約半世紀の間に小規模な発掘が数多くの人々によって試みられたが,1954年に横須賀市博物館の赤星直忠らが発掘して,厚さ4mに及ぶ貝層を発見し,そこから出土する土器に新旧2型式あることを明らかにした。これによって,本遺跡の土器を標式とする従来の〈茅山式土器〉は細別され,野島式→茅山下層式→茅山上層式という,縄文時代早期後半の編年が確立した。なお同年12月,茅山貝塚は県の史跡に指定,現在は国の史跡指定を受けている。
執筆者:可児 通宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
神奈川県横須賀(よこすか)市佐原に所在する縄文時代早期末の貝塚。いわゆる「茅山式土器」の標式遺跡として有名である。すでに1897年(明治30)沼田頼輔(よりすけ)によって学界に報ぜられ、また大正末年には、大場磐雄(いわお)、赤星直忠(なおただ)らによる調査が行われた。1954年(昭和29)神奈川県史跡に指定された。JR久里浜(くりはま)駅の西方約700メートルの位置にあり、標高約40メートルの細長い台地の北側約80平方メートルほどの斜面に貝層が堆積(たいせき)している。マガキを主体とし、アサリ、ハマグリ、アカニシ、レイシなどの海水産の貝殻からなり、厚いところで4メートルを測る。イノシシ、シカ、イルカ、スズキ、クロダイなどの獣魚骨も目だつ。土器は繊維痕(こん)をもち、貝殻条痕を施したものであるが、文様、器形は層位により差があり、型式的に区別される。
[岡本 勇]
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