草合(読み)くさあわせ

精選版 日本国語大辞典 「草合」の意味・読み・例文・類語

くさ‐あわせ ‥あはせ【草合】

〘名〙 物合せ一つ。中古以来、いろいろの草を持参し、見せ合ってその優劣を争った遊戯歌合せを伴うこともある。中国の「闘草」が五月五日に行なわれたので、夏の季語となる。菊、女郎花(おみなえし)などと草の種類を決めておくときは、菊合せ・女郎花合せなどという。草尽くし。草結び。《季・夏》 〔二十巻本和名抄(934頃)〕
咄本醒睡笑(1628)四「児(ちご)のあそびに草合(クサアハセ)あり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「草合」の意味・わかりやすい解説

草合
くさあわせ

闘草(とうそう)、種合などとも記される。物合一種で、珍しい草花を持ち寄って比べ、その優劣を競う遊戯。『荊楚(けいそ)歳時記』には、古く中国で5月5日に行われた「闘草」についての記述がみえ、それとの関連が想定される。『百練抄』の永久(えいきゅう)5年(1117)5月29日条には、内裏(だいり)で闘鶏とともに闘草が行われたことがみえ、また『後拾遺和歌集』20には、朝顔とかがみ草を合わせたところ、かがみ草が勝ったとある。

[杉本一樹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「草合」の意味・わかりやすい解説

草合
くさあわせ

平安時代の遊戯で,物合せの一つ。5月5日の節供に種々の草を集めて,その種類や優劣を競った。宮廷でも行われ,負けると衣服を脱いで,勝った者に与える風習があったといわれる。鎌倉時代も子供の遊戯として残ったが,その後,衰えた。本来は山野の薬草採集 (薬狩り) から起ったもので,競狩 (きおいがり) ,闘草,草くずしともいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報