『涅槃経』で説かれる言葉。草木や国土のような非情なものも,仏性を具有して成仏するという意。この思想はインドにはなく,6世紀頃,中国仏教のなかに見出されるが,特に日本で流行した。日本では空海が最初といわれ,次いで天台宗の円珍や安然らによっていわれた。それが鎌倉時代になって,親鸞,道元,日蓮らによって主張され,やがて謡曲にこの言葉は多く出てくるようになった。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
仏語。草木や国土のように心をもたないものでさえ、ことごとく仏性があるから、成仏するということ。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
草木や国土のような心識をもたないものも,すべて仏性を有するので,ことごとく仏となりうるという意味の成語。《涅槃経(ねはんぎよう)》の〈一切衆生,悉有仏性〉の思想を基盤とし,生命をもたない無機物にもすべて〈道〉が内在するという道家の哲学を媒介として,六朝後期から主張され始めた中国仏教独自の思想であり,天台,華厳などで強調される。【麦谷 邦夫】
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
仏語。中陰経にいうといわれてきた偈(げ)の一部。草木土石のように非情のものでも、有情のものと同じくことごとく成仏できるという意。
※曾我物語(南北朝頃)一一「ただ一筋に仏道を願ふ時は、草木国土しっかひじゃうぶつとぞ見えける」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報