精選版 日本国語大辞典 「荷渡指図書」の意味・読み・例文・類語
にわたし‐さしずしょ ‥さしヅショ【荷渡指図書】
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倉庫証券または船荷証券,貨物引換証の発行されている寄託物や運送品について,その全部または一部を引き渡すよう指図した証券であり,デリバリー・オーダーdelivery order(D/O)ともいわれている。とくに,海上運送の場合に実用性が大きく,運送品を数人に分割譲渡するためや,また保証渡しなどのために利用されている。ただ,荷渡指図書は,このように法律上定められた証券ではなく形式,内容ともに一定していない。
(1)寄託者または船荷証券所持人が発行する場合 商品を倉庫業者に寄託している者が倉庫営業者に対して,また運送品の売主である船荷証券所持人が海上の運送人や陸揚港における荷扱人に対して,寄託物や運送品の全部または一部をその証券の所持人に引き渡すよう委託したものである。倉庫営業者や運送人等がこの証券の所持人に証券に記載してある寄託物や運送品を引き渡せば,責任を負うことはないので,一種の免責証券である。証券所持人は,法律的には,受領の権限を有するだけであり,引渡請求権を有するものではなく,発行者は,証券所持人が引渡しを受けるまでは,倉庫営業者や運送人等に対し有効に委託を取り消すことができる。ただ,荷渡指図書に倉庫営業者や運送人の副署があれば,証書の名あて人にそれを引き渡す義務を負担した有価証券となる。
(2)倉庫営業者または海上の運送人が発行する場合 倉庫営業者がその者の倉庫係員などの履行補助者に対し,また海上の運送人が船長や埠頭経営者などに対し,受寄物や運送品を引き渡すよう指図して署名したものである。日本ではこの例が多い。この証書の所持人は,これによって引渡しを請求する権利を有し,その限りで有価証券と認められる。
執筆者:石田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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