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葦舟 アシブネ

デジタル大辞泉の解説

あし‐ぶね【×葦舟】

藺草(いぐさ)などを束ねてつくった小さい。最も原始的な舟で、古代のエジプト・インド・中国などで用いられた。日本でも古事記水蛭子(ひるこ)をこの舟に乗せて流した話がある。ペルーボリビアとの国境にあるチチカカ湖では、今も漁などに使用。
刈り取った葦を載せた舟。あしかりおぶね。
水面に浮いた葦の葉を舟にたとえていう語。

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世界大百科事典 第2版の解説

あしぶね【葦舟】

葦(ヨシ)などを束ねて作った舟で,(いかだ)の一種とする場合もある。材料は水辺に生える葦に限らず,小枝を使用することがあり,樹皮を丸めたものも用いられる。材料が簡単に得られ,製作に特別な道具を要しないため,古代から広く世界各地で使用されていたと考えられる。もっとも古い記録として,葦舟と思われる舟をかいた前5000年ごろのエジプトの壁画があり,前2800年ごろの壁画にはパピルスを束ねて葦舟を製作中の図が残っており,ナイル川流域で古くから使用されていたことを示している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

葦舟
あしぶね

アシでつくった水上交通具の一つ。古代日本に葦舟があったことは、記紀の列島創造神話において記されているところから想像がつく。蛭児(ひるこ)を葦舟に乗せて流すくだりである。また弥生(やよい)時代の土器に描かれた船のなかには船首を束ねた例もある。南アメリカではコロンビア、アルゼンチン、チリと分布していたが、現在痕跡(こんせき)が残っているのは、かつての利用の中心地と考えられるアンデス地域だけである。エクアドル高地の先住民オタバロ、ペルー北海岸のワンチャコ村、さらに有名なティティカカ湖のアイマラ人、ウロ人の葦舟がそれらである。しかしこれらの舟も厳密にはイネ科のアシが材料ではなく、カヤツリグサ科のトトラを用いている点で、名称に注意しなければならない。アフリカでは、ナイル川上流のシルックの人々やアフリカ南西部のベンゲラの海岸住民の例が知られている。古代エジプトでもパピルス(カヤツリグサ科、カミガヤツリ)を束ねた舟が利用されたようで、最近サッカラで発見されたラムセス2世の妹チアの墓からも黄泉(よみ)の国へ向かう葦舟の浮彫りが報告されている。なお、新旧両世界の古代文明の有機的関連を想定したノルウェーの人類学者ヘイエルダールが、1970年に葦舟ラー世号で大西洋を横断している。[関 雄二]

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世界大百科事典内の葦舟の言及

【筏】より

…そのため,中国のジャンクの起源はこのいかだに由来すると主張する学者もいる。イネ科の大型多年草であるアシ(葦)を束ねて浮力をつけたいわゆる葦舟はナイル川やティグリス,ユーフラテス川の流域では古代から使用されていた。今日でもアフリカのビクトリア湖やチャド湖,南アメリカのチチカカ湖ではさまざまな型の葦舟がつくられ,湖上の交通手段として重要な役割をはたしている。…

【舟∥船】より

…ベトナムや台湾では,前方をそり上がらせた竹筏(テッパイ)が漁船として海上で用いられている。また,いくつかの葦の束を舟形に束ね合わせて作るいかだすなわち葦舟は,古代エジプトで用いられていたが,今日でもアフリカや南北アメリカ大陸で幅広く使用されている。 皮舟もまた,伝統的な形態の舟である。…

※「葦舟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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