藤原良相(読み)ふじわらのよしみ

共同通信ニュース用語解説 「藤原良相」の解説

藤原良相

藤原良相ふじわらのよしみ 平安時代前期の貴族。父は藤原冬嗣ふゆつぐ。兄の良房よしふさは皇族以外で初めて摂政となり、藤原氏繁栄の基礎を築いた。姉には文徳天皇の母順子じゅんしがいる。857年に右大臣となった。「日本三代実録」などによると、度量が広く、文学を愛し、学識が豊かだったとされる。歴史書「続日本後紀しょくにほんこうき」の編さんを手掛けたほか、福祉施設である延命院や、崇親院などの施設を設立し、藤原氏一族の貧窮者の救済にも努めた。

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改訂新版 世界大百科事典 「藤原良相」の意味・わかりやすい解説

藤原良相 (ふじわらのよしみ)
生没年:813-867(弘仁4-貞観9)

平安前期の官人。藤原冬嗣の五子で母は尚侍藤原美都子。その出自とともに,度量広大にして才幹ありと評された資質とあいまって栄達の途も保証されていたが,政治家より文人的な志向が強く,崇親院に自存できない一族の子女を収容したりした。834年(承和1)蔵人となり,左近衛少将を経て,承和の変では近衛を率いて行動し,848年(嘉祥1)には参議となり,右大弁,春宮大夫を経て851年(仁寿1)には従三位権中納言となった。ついで大納言右近衛大将となり,857年(天安1)には右大臣となった。66年(貞観8)12月に致仕を請うたが許されず,翌年10月没し,正一位が贈られた。貞観格式編纂にかかわり,《続日本後紀》の編集にも参画した。その生涯は藤原良房の陰にかくれている感がつよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤原良相」の意味・わかりやすい解説

藤原良相(ふじわらのよしみ)
ふじわらのよしみ
(813―867)

平安前期の官僚。冬嗣(ふゆつぐ)の第五子で、母は尚侍(ないしのかみ)藤原美都子(みつこ)。名は「よしすけ」とも。その出自、度量広大にして才幹ありと評された資質などからすれば栄達の途は保証されていたといえるが、文人的生活を好んだらしく、仏教に帰依(きえ)し、東六条の崇親院(すうしんいん)に貧困の一族の子女を収養した。蔵人(くろうど)、左近衛(さこのえ)少将を経て、承和(じょうわ)の変(842)では兵衛(ひょうえ)の兵40人を率いて行動し、848年(嘉祥1)参議、右大弁、陸奥出羽(むつでわ)按察使、春宮大夫(とうぐうだいぶ)を経て、中納言(ちゅうなごん)から大納言近衛大将となり、857年(天安1)には右大臣となった。応天門の変(866)後に致仕(ちし)を願ったが許されず、翌年没した。兄良房に隠れてあまり目だたないが、良房政権を支える存在でもあったらしい。『貞観格式(じょうがんきゃくしき)』『続日本後紀(しょくこうき)』の編纂(へんさん)にも加わっている。

[佐藤宗諄]


藤原良相(ふじわらのよしすけ)
ふじわらのよしすけ

藤原良相

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朝日日本歴史人物事典 「藤原良相」の解説

藤原良相

没年:貞観9.10.10(867.11.9)
生年:弘仁4(813)
平安前期の官人。冬嗣と 尚侍美都子(藤原真作の娘)の子。承和の変(842)を経験し,参議を経て天安1(857)年右大臣。応天門の変(866)では,『大鏡裏書』によると,良相は伴善男と相談して左大臣源信を陥れようとしているが,事件の真相は不明。しかし善男流罪のあと仏門に入ることを願って再三致仕を請願しているのは,政治世界からの離脱を願ったからであろう。豪胆で雄弁である一方,信心に厚かったとされ,邸内に崇親院を建てて自活できない一族の子女を収容したり,病患者の救済施設として延命院を設けた。また亡妻(相模権掾大枝乙枝の娘)のため再婚もせず,その供養に専心した。娘の多可幾子と多美子はそれぞれ文徳,清和両天皇の女御。

(瀧浪貞子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原良相」の解説

藤原良相 ふじわらの-よしみ

813-867 平安時代前期の公卿(くぎょう)。
弘仁(こうにん)4年生まれ。北家藤原冬嗣(ふゆつぐ)の5男。母は藤原美都子(みつこ)。承和(じょうわ)15年(848)参議,天安元年(857)右大臣。正二位にいたる。崇親院,延命院をもうけて同族の困窮者を救済,仏教に帰依(きえ)した。「貞観格式(じょうがんきゃくしき)」「続日本後紀」の編修にかかわる。貞観9年10月10日死去。55歳。贈正一位。西三条大臣とよばれた。西三条大臣とよばれた。

藤原良相 ふじわらの-よしすけ

ふじわらの-よしみ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤原良相」の意味・わかりやすい解説

藤原良相
ふじわらのよしみ

[生]弘仁4(813)
[没]貞観9(867).10.10.
平安時代初期の公卿。左大臣冬嗣の子。良房の弟。右大臣,正二位にいたる。「延命院」や「崇親院」を建立して,藤原氏の貧窮学生や自活できない子女を収養した。2人の娘は,それぞれ文徳天皇,清和天皇女御になっている。なお,享年を 51歳とする説もある。

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