養老律令に対する補充法典たる三代格式の一つ。弘仁格式に次ぐ2番目の格式で,編纂開始は863年(貞観5)以前。格12巻は869年撰進・施行,式20巻は871年撰進・施行。《貞観格》の内容は《弘仁格》の続編として820年(弘仁11)から868年に至る詔,勅,太政官符などを官司別に集大成しており,その編纂方針は12巻中の2巻を臨時格とした点を除けば,《弘仁格》のそれと同じである。一方《貞観式》の編纂方針はだいたい《弘仁式》のそれを受けついでいるが,1点だけ顕著に異なる。それは先行の《弘仁式》を廃止することなく有効な法源として存続させ,これに対して訂正増補する必要のある施行細則だけを集めて編纂し,両者を併用するようにしたことである。《貞観格》は《類聚三代格》所収のものによって大部分が知られるが,《貞観式》は逸文が知られるだけである。
→律令格式
執筆者:虎尾 俊哉
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『弘仁(こうにん)格式』に次ぐ律令(りつりょう)を改変あるいは補う法典。編纂(へんさん)開始時期は不明だが少なくとも863年(貞観5)以前で、式は藤原氏宗(うじむね)、南淵年名(みなみぶちのとしな)、大江音人(おおえのおとんど)、菅原是善(すがわらのこれよし)、紀安雄(きのやすお)、大春日安永(おおかすがのやすなが)、布瑠道永(ふるのみちなが)、山田弘宗(ひろむね)、格はこれに上毛野永世(かみつけぬのながよ)、南淵興世(おきよ)を加えた人々が撰(せん)格式所を設けて編纂した。格は『弘仁格』の改定または増補したものを官司ごとに10巻と臨時格2巻計12巻にまとめ、869年4月13日奏進、同年9月7日に施行。式も官司別に20巻にまとめ871年8月25日に奏進、同年10月22日に施行。格は『弘仁格』と併用、式もまた『弘仁式』を全面的に廃止せず、改定・増補の部分だけ集め編纂したので、両者を併用した。
[福井俊彦]
『和田英松著『本朝書籍目録考証』再版(1970・明治書院)』▽『虎尾俊哉著『延喜式』(1964・吉川弘文館)』
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