精選版 日本国語大辞典 「蚰蜒」の意味・読み・例文・類語
げじ‐げじ【蚰蜒】
〘名〙 (歴史的かなづかいには「げじげじ」「げぢげぢ」の両説があり未詳)
※仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三「(むかで)のあしのかせぎ心は、げぢげぢの、いそがはしきばかりにて」
② 梶原景時を憎んでいう語。紋の形または景時(けいじ)から出たともいわれる。げじ。
③ 人から忌みきらわれる者。憎まれ者。げじ。
※評判記・役者評判蚰蜒(1674)序「かぢわらがむまれかわりの蚰蜒のむしとよばれぬれば人ににくまれきらはれ」
※ゆく年(1928‐29)〈久保田万太郎〉三「その界隈切ってのあばれもので、げぢげぢのやうに思はれてゐた奴」
⑤ パッチの膝下につけた紐を通す乳(ち)。
⑥ 昆虫「めくらぐも(盲蜘蛛)」の一種で、形の大きいものをいう。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
げじ【蚰蜒】
〘名〙 (歴史的かなづかいには「げじ」「げぢ」の両説があり、未詳)
① ムカデ綱ゲジ目ゲジ科の節足動物。体長二~三センチメートル。体は淡褐色で多くの節からなる。ムカデに似ているが、やや小形で、あしははるかに長い。歩脚は一五対で、最後の一対は特に長く、頭部の触角とほぼ同じくらいある。家屋内の害虫を捕食する有益な動物だが、姿が不気味なためにきらわれる。本州以南に分布し、人家付近の石垣や材木の間、山林の落葉の下などにすむ。げじげじ。げじげじむし。げじむし。《季・夏》
※雑俳・三国力こぶ(1819)「いっそよい・蚰に這れた若口入」
※浄瑠璃・伊達錦五十四郡(1752)一「ヤイ蚰(ゲヂ)め」
③ 憎まれ者。また、憎まれ口をたたくこと。げじげじ。げじげじむし。
※洒落本・遊婦里会談(1780)「人のいい客人さ。武士でやしきで侍さ。あんまり蚰(ゲジ)をいいなさんな」
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