蛍雪の功(読み)ケイセツノコウ

デジタル大辞泉 「蛍雪の功」の意味・読み・例文・類語

けいせつ‐の‐こう【蛍雪の功】

苦労して勉学に励んだその成果。「蛍雪の功なってみごと合格する」

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精選版 日本国語大辞典 「蛍雪の功」の意味・読み・例文・類語

けいせつ【蛍雪】 の 功(こう)

  1. 苦学すること。また、その成果。
    1. [初出の実例]「修学の窓に臂(ひぢ)を下して、蛍雪(ケイセツ)の功(コウ)年積りて、碩学(せきがく)の聞えありけり」(出典:米沢本沙石集(1283)一)

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故事成語を知る辞典 「蛍雪の功」の解説

蛍雪の功

苦学した成果。また、苦労して学問にはげむこと。

[使用例] 遂に多年蛍雪の功が現われて一片卒業証書いだき[二葉亭四迷浮雲|1887~89]

[使用例] かくて蛍雪の功むなしからず、彼がわずかに二十一歳の青年をもって弁護士試験に及第するや[河上肇*貧乏物語|1916]

[由来] 「蒙求―上」にペアにして収められている二つのエピソードから。四世紀、中国のとうしん王朝の時代。しゃいんという人物は、貧しくてともし火に用いる油が買えないため、夏になると数十匹の蛍を集めて袋に入れ、その光で夜も本を読んでいました。また、そんこうという人物は、やはり貧しかったので、冬の夜には、窓辺に映る雪の明かりで本を読んでいました。二人とも、このように苦労して学問をした結果、高級官僚にまで出世したということです。

[解説] ❶かたや夏の蛍、かたや冬の雪という、美しい取り合わせが魅力の故事成語。最終的に出世するところがポイントで、成功を夢見て勉強に励むという文脈で、よく用いられます。❷かつては卒業式でよく歌われた唱歌「蛍の光」の歌詞の冒頭、「蛍の光、窓の雪」も、同じエピソードを下敷きにした表現。苦労しながら一緒に勉強をしてきた仲間との思い出をうたっています。❸出典の「蒙求」は、日本でも、平安時代から江戸時代にかけて、漢文学習の入門テキストとして、非常によく用いられました。車胤の話と孫康の話には、それぞれ元になる書物がありますが、両方を一緒に収めているのは「蒙求」なので、ここから生まれた故事成語だと考えるのが適当でしょう。

〔異形〕蛍雪の学び/蛍雪の勤め/蛍窓雪案。

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ことわざを知る辞典 「蛍雪の功」の解説

蛍雪の功

苦学した成果。また、苦労して学問にはげむこと。

[使用例] ついに多年蛍雪の功が現れて一片の卒業証書をいだき[二葉亭四迷*浮雲|1887~89]

[解説] 貧しくて灯火用の油が買えないため、中国晋のしゃいんは蛍を集めてその光で本を読み、そんこうは雪の明かりで本を読んだという「晋書―車胤伝」の故事によることば。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛍雪の功」の意味・わかりやすい解説

蛍雪の功
けいせつのこう

辛苦して学問をし遂げること。中国、晋(しん)の車胤(しゃいん)は家が貧しくて油を買えなかったので、夏には蛍を集めて袋に入れ、その光で書を読むなど日夜勉学にいそしみ、ついには出世して尚書郎(しょうしょろう)となった。孫康(そんこう)もまた家貧しく、冬に雪に反射する光で読書をし、その功によって御史大夫(ぎょしたいふ)になったと伝える。『晋書-車胤伝』、『蒙求(もうぎゅう)』の故事による。

[田所義行]

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