蛭石(読み)ヒルイシ(その他表記)vermiculite

翻訳|vermiculite

デジタル大辞泉 「蛭石」の意味・読み・例文・類語

ひる‐いし【×蛭石】

熱するとヒルが伸びるように膨張する鉱物黒雲母くろうんもが風化したもので、多量の水分を含んでいる。断熱・防音材園芸用土などに使用バーミキュライト

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精選版 日本国語大辞典 「蛭石」の意味・読み・例文・類語

ひる‐いし【蛭石】

  1. 〘 名詞 〙 黒雲母金雲母加水変質してできた鉱物。急激に熱すると蛭のように膨張する。焼成したものは軽く、耐火性があり、吸音・断熱用の充填材、セメントモルタル骨材などに利用される。バーミキュライト。
    1. [初出の実例]「化石谷に生ずる蛭石(ヒルイシ)といふ奇石を」(出典読本・双蝶記(1813)六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蛭石」の意味・わかりやすい解説

蛭石
ひるいし
vermiculite

層状珪(けい)酸塩鉱物の一つで、鱗片(りんぺん)状ないし葉片状結晶の集合をなす。雲母(うんも)、緑泥石に似るが、より柔らかく、撓(とう)性がある。変成した超塩基性岩や広域変成岩中に産する。急激に加熱するとヒルのように伸びる性質があるため、英名はこの意味のラテン語に由来する。この性質をもつ加水黒雲母や加水金雲母をも蛭石というため、本来の蛭石のほうはバーミキュライトあるいは苦土蛭石といって区別される。日本の産地では福島県田村郡小野町、山梨県甲州(こうしゅう)市大和町初鹿野(やまとちょうはじかの)などが知られる。

松原 聰]


蛭石(データノート)
ひるいしでーたのーと

蛭石
 英名    vermiculite
 化学式   Mg1-X(Mg,Fe3+,Al)3(Si,Al)4
        O10(OH)2・4H2O
 少量成分  ―
 結晶系   単斜
 硬度    1.5
 比重    ~2.4
 色     白~灰緑,褐
 光沢    真珠
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蛭石」の意味・わかりやすい解説

蛭石
ひるいし
vermiculite

単斜晶系の鉱物。 Mg0.4(Mg,Fe,Al)3(Si,Al)4O10(OH)2・4H2O 。バーミキュライト,バーミキュル石ともいう。比重 2.4,硬度 1.5。真珠光沢。無色,黄色,褐色,緑色など。劈開{001}に完全。きわめて脆弱。加熱すると膨張してヒルのように伸びるのでこの名がある。耐熱材や防音材として広く使われている。各種岩石中の黒雲母の風化変質生成物として産出するほか,苦鉄質岩石が接触変成作用を受けたときの生成物としても産出する。

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