西イリアン(読み)にしいりあん(英語表記)West Irian

翻訳|West Irian

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西イリアン」の意味・わかりやすい解説

西イリアン
にしいりあん
West Irian

インドネシア東端、ニューギニア島(イリアン島)西半部を占める地域。別名イリアン・ジャヤ。行政的には一州をなす(2002年にイリアン・ジャヤ州はパプア州と改名。2003年に最西部が西イリアン・ジャヤ州として分割された)。面積42万1981平方キロメートル、人口約218万(2001推計)。州都ジャヤプラ(旧称ホランディア)。第二次世界大戦後のインドネシア独立に際し、オランダが植民地として占有し続けようとしたため、いわゆるイリアン紛争が引き起こされたが、結局オランダが断念、1969年の住民投票を経て正式にインドネシア領となった。島の中央を高峻(こうしゅん)なスディルマン、ジャヤビジャヤなどの脊梁(せきりょう)山脈が貫き、ジャヤ山(5030メートル)、トリコラ山(4750メートル)などの万年雪を頂く高峰がそびえる。北岸にはチェンドラワシ半島、イリアン湾などの出入りがあるが、南岸にはディグル川流域に大湿原が展開する。気候は高地の一部を除き高温多湿で、密林に覆われ、いわゆる「緑の砂漠」を形成しており、開拓は容易でない。生物はオーストラリア的特色が濃厚で、ゴクラクチョウヒクイドリなど特異なものが生息する。居住民は先住民のパプア系を主とするが、山地低地とでは部族も分かれ、生活、文化も異なる。山地部族は原始的農耕によるタロイモサツマイモなどを栽培しているが、低地部族は焼畑耕作や漁業などを行い、外来民との接触で生活もかなり近代化しつつある。またマレー人との混血もみられ、中国人も進出している。東隣のパプア・ニューギニアに比べると、全体的には開発が遅れているが、地下の埋蔵資源は豊かで、チェンドラワシ半島の油田開発は注目されている。

[別技篤彦]

『佐竹義輔著『西イリアン記――ニューギニアの自然と生活』(1963・広川書店)』『『西イリアン探検』全2巻(1980・日本テレビ)』『伊藤隼男著『ニューギニア 西イリアン紀行――父の戦没地を訪ねて』(1981・新人物往来社)』『渡辺信夫著『イリアン・ジャヤへの道』(1987・新地書房)』『久保康之編著『森と海と先住民――イリアン・ジャヤ(西パプア)』(1999・インドネシア民主化支援ネットワーク)』『川合信司著『先住民社会と開発援助――インドネシアイリアン・ジャヤ州ドミニ集落の事例』(2002・明石書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西イリアン」の意味・わかりやすい解説

西イリアン
にしイリアン

パプア州」のページをご覧ください。

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