西念(読み)サイネン

デジタル大辞泉 「西念」の意味・読み・例文・類語

さいねん【西念】

平凡な僧をさす通り名西念坊。「―はもう寝た里を鉢たたき/蕪村

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精選版 日本国語大辞典 「西念」の意味・読み・例文・類語

さい‐ねん【西念】

  1. 〘 名詞 〙 世にありふれた凡僧通称。みそすり坊主の通り名。西念坊。
    1. [初出の実例]「何を見るにも露ばかり也〈野水〉 花とちる身は西念が衣着て〈芭蕉〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西念」の解説

西念(2) さいねん

1184-1291 鎌倉時代の僧。
元暦(げんりゃく)元年生まれ。浄土真宗越後(えちご)(新潟県)で親鸞(しんらん)に師事。師にしたがって関東にいき,武蔵(むさし)足立郡野田(埼玉県)に道場をたてる。正応(しょうおう)3年覚如(かくにょ)が関東をおとずれたとき対面し,道場は長命寺の寺号をあたえられた。正応4年3月15日死去。108歳。信濃(しなの)(長野県)出身。法名は能信。

西念(1) さいねん

?-1178 平安時代後期の僧。
おさないとき高野山にのぼり心蓮(しんれん)について出家し,真言をまなぶ。浄土往生をねがって修行濁世(じょくせ)をきらい,奥院をでなかった。治承(じしょう)2年死去。信濃(しなの)(長野県)出身。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西念」の意味・わかりやすい解説

西念
さいねん

本来意義西方阿弥陀(あみだ)仏とその極楽浄土を念ずること。西方念仏の略語で、念ずるその人をもさす。浄土教の隆盛につれ、西方念仏ということが一般に広まるとともに、広く僧の通称として用いられるようになり、「西念坊」などといって、ありふれた凡僧をさす通り名となった。

[藤井教公]

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世界大百科事典(旧版)内の西念の言及

【いろは歌】より

…〈いろは歌〉の全文は承暦3年(1079)本の《金光明最勝王経音義(こんこうみようさいしようおうぎようおんぎ)》に万葉仮名で書かれているのが現存最古で,1109年(天仁2)に源信僧都が〈いろは〉の作者を論じたという。1143年(康治2)に死んだ覚鑁(かくばん)は《伊呂波釈》《伊呂波略釈》を著し,1142年西念が〈いろは〉を沓冠に置いた〈極楽願往生歌〉を詠んでいる。〈いろは〉はそのころから広く行われ,音節の順序を示すために用いられるようになり,《色葉字類抄》《伊呂波字類抄》《節用集》などいろは引きの辞書も作られるにいたった。…

【峰定寺】より

…北山連峰の山中に位置する。寺伝によれば,1154年(久寿1)西念(観空)が石窟に堂を建立し,本尊千手観音(重要文化財)を安置して開創。当初は大悲山寺とも称し,鳥羽法皇の勅願で不動明王像と毘沙門天像(ともに重要文化財)が施入された。…

※「西念」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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