西念(読み)サイネン

デジタル大辞泉 「西念」の意味・読み・例文・類語

さいねん【西念】

平凡な僧をさす通り名西念坊。「―はもう寝た里を鉢たたき/蕪村

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「西念」の意味・読み・例文・類語

さい‐ねん【西念】

〘名〙 世にありふれた凡僧通称。みそすり坊主の通り名。西念坊。
※俳諧・猿蓑(1691)五「何を見るにも露ばかり也〈野水〉 花とちる身は西念が衣着て〈芭蕉〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「西念」の意味・わかりやすい解説

西念
さいねん

本来意義西方阿弥陀(あみだ)仏とその極楽浄土を念ずること。西方念仏略語で、念ずるその人をもさす。浄土教の隆盛につれ、西方念仏ということが一般に広まるとともに、広く僧の通称として用いられるようになり、「西念坊」などといって、ありふれた凡僧をさす通り名となった。

[藤井教公]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の西念の言及

【いろは歌】より

…〈いろは歌〉の全文は承暦3年(1079)本の《金光明最勝王経音義(こんこうみようさいしようおうぎようおんぎ)》に万葉仮名で書かれているのが現存最古で,1109年(天仁2)に源信僧都が〈いろは〉の作者を論じたという。1143年(康治2)に死んだ覚鑁(かくばん)は《伊呂波釈》《伊呂波略釈》を著し,1142年西念が〈いろは〉を沓冠に置いた〈極楽願往生歌〉を詠んでいる。〈いろは〉はそのころから広く行われ,音節の順序を示すために用いられるようになり,《色葉字類抄》《伊呂波字類抄》《節用集》などいろは引きの辞書も作られるにいたった。…

【峰定寺】より

…北山連峰の山中に位置する。寺伝によれば,1154年(久寿1)西念(観空)が石窟に堂を建立し,本尊千手観音(重要文化財)を安置して開創。当初は大悲山寺とも称し,鳥羽法皇の勅願で不動明王像と毘沙門天像(ともに重要文化財)が施入された。…

※「西念」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」