見舞い(読み)みまい

精選版 日本国語大辞典 「見舞い」の意味・読み・例文・類語

み‐まい‥まひ【見舞・見廻】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 見回ること。見回り。巡察。巡視。
    1. [初出の実例]「デンバタヲ mimaini(ミマイニ) イデラレタレバ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
  3. 訪問すること。とぶらうこと。挨拶に行くこと。
    1. [初出の実例]「我一期の間奉公せいでは叶まいが、捨之父を見まいに行よ」(出典:古文真宝彦龍抄(1490頃))
    2. 「此の曠世の詩人が生れたといふ家を見舞(ミマ)ひ」(出典:大英游記(1908)〈杉村楚人冠〉本記)
  4. 医者が病人の様子を見て回ること。往診
    1. [初出の実例]「門より典薬衆見まひとあり」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)下)
  5. 病気、災難などにあった人を慰めるために訪れたり、書面で問い慰めたりすること。また、そのための訪問や書状、贈物など。
    1. [初出の実例]「骨ををらるるらうと云て見まいに来」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)一九)
    2. 「あるもの、火事にあひけるを、見舞(みマヒ)に行きければ」(出典:咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上)
  6. 好ましくない物事が襲うこと。
    1. [初出の実例]「出世すべき力士一同が〈略〉土俵に登り、森厳な儀式があるのだが、其道々でばたばたお祝の拳骨や平手の見舞(ミマヒ)を受ける」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉力士階級給金)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「見舞い」の意味・わかりやすい解説

見舞い
みまい

親類縁故・近隣知己に死亡・病気・出産・家普請(ぶしん)・屋根替え・転居、さらには火災・水害・地震などの変事が生じた際に慰問すること。訪問できぬ場合は「見舞状」を出すのが例であり、正月の年賀状、暑中寒中の見舞状の交換もこうした見舞いの習俗のうちに生じた社交慣行である。出産見舞い、病気見舞い、火事見舞いなど、その契機は生活変動の万般に及ぶが、一定の互助的交際規制がそこにはあって、いわゆる「義理づきあい」として欠くことができないものとされてきた。とくに親類・師弟隣人など古い伝統を負う人間関係の持続は、こうした「義理」を果たす見舞い慣習で保持されてきた。とりわけ親族縁辺の結合はほとんどこうした「義理」としての見舞い慣行に依存してきたといってもよい。「見舞い」には一定の「挨拶(あいさつ)文言」のほか、伝統的に決まった物品贈答が付随していた。とくに火事や転居には家具類、出産や病気には食品・衣類などと、地方ごとに古くは一定の規制があったが、しだいに金銭本位に変わり、交際の程度に応じてその金額に差等を設ける規制も生じた。「見舞い」とそれに伴う「贈答」慣行は、いわば私的な社会保障制であり、久しく日本人の社交生活はこうした「義理」を果たす「見舞い」の慣行によって規制される面が多かったのである。しかもその傾向は、今日の企業社会にもなお形を変えつつも引き継がれている。

[竹内利美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「見舞い」の意味・わかりやすい解説

見舞い
みまい

通常,人が不安の状況にあるときに訪れて力づけること。また無事かどうかを手紙でたずねたり慰めたりすることも含む。病気見舞い,通夜のさぶし見舞い,出産のおりの産見舞い,家屋新築のときの普請見舞い,旅行のときの留守見舞い,そのほかに火事見舞いや水見舞いなどがある。見舞いの品の中心は食品であり,これを贈るとともに共食することによって力をつけようとするものである。

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