視学(読み)シガク

デジタル大辞泉 「視学」の意味・読み・例文・類語

し‐がく【視学】

旧制度地方教育行政官。市視学・郡視学・府県視学があり、学事視察および教育指導に当たった。

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精選版 日本国語大辞典 「視学」の意味・読み・例文・類語

し‐がく【視学】

〘名〙
① 学事を視察すること。〔現代大辞典(1922)〕 〔礼記王制
文部省に置かれ、学事の視察、監督にあたった官職明治六年(一八七三)八月一二日に置かれたのが最初で第二次大戦後廃止された。教育行政、学校教育学校衛生、学校財政、教職員の執務状況などを視察した。
地方官として置かれ、学事の視察にあたった官職。第二次大戦後廃止された。郡視学は明治二三年(一八九〇)、道府県の視学(旧地方視学)は同三二年(一八九九)に設けられ、教育の運営状態を指導、監督した。〔地方官官制(明治三八年)(1905)一条

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改訂新版 世界大百科事典 「視学」の意味・わかりやすい解説

視学 (しがく)

第2次大戦前の日本において教育監督をおもな仕事とした職。〈視学〉と名のつく制度が最初に設けられたのは,1873年(明治6)であったが,中央,地方を通じ,国の官吏(国の行政組織を定めた〈官制〉上の職)として第2次大戦前の制度が成立したのは,明治30年代の初めであった。すなわち,97年文部省に〈視学官〉(1886年にはじめて設けられたが,その再設置),99年郡に〈郡視学〉(1890年小学校令に基づく郡視学の再編設置),道府県に〈視学〉(1897年の〈地方視学〉を再編設置)および〈視学官〉(学務関係部課長兼務)が設けられたのがそれである。なお,以後,若干の名称の変更(たとえば,1913年,文部省〈視学官〉が〈督学官〉になるなど)はみられた。これら視学の職務は,〈官制〉上はそれぞれ〈上官〉の命をうけ,視学官については学事の視察と事務をつかさどるとされ,視学,郡視学については学事の視察と庶務に従事すると定められていた。しかし,戦前日本の視学は,国の官吏として国が定めた教育内容をはじめ,教師の身分,人事にわたる監督を権力的に行ったのが,その特色であり,とくに昭和期にはいると,学校現場から恐れられる存在にすらなった。もともと,この制度は教育監督を担当する職として欧米でも設けられてきたが,それは非権力的な教育の専門的な指導者としてであった。日本の視学は,そのような専門職とはなりえず,戦後の〈指導主事〉にこの役割が期待されることとなった。
指導主事
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百科事典マイペディア 「視学」の意味・わかりやすい解説

視学【しがく】

第2次世界大戦前の日本の国家および地方の教育行政官。国家の教育方針を徹底させるため,学事の視察,教育の指導監督を行ない,特に地方の視学は教員人事の実権を握っていた。学制(1872年)によって始まり,後に文部省,道府県,郡,市に置かれた。戦時中に教学官と改称,1948年指導主事に移行した。

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普及版 字通 「視学」の読み・字形・画数・意味

【視学】しがく

学事視察。

字通「視」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「視学」の意味・わかりやすい解説

視学
しがく

視学制度

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世界大百科事典(旧版)内の視学の言及

【指導主事】より

…なお,これには,教員身分のままで指導主事の職務を行う者もあり,これを〈あて指導主事〉という(教育委員会に勤務するが,その事務局職員ではない)。指導主事は,第2次大戦前のこれに相当する視学制度を否定して設けられたものである。すなわち,戦前の〈視学〉が教育内容と教育人事・身分を権力的に監督したのに対し,指導主事は〈教員に助言と指導を与える。…

※「視学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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