公の競売または入札において、公正な価格を害しまたは不正の利益を得る目的で談合する罪で、2年以下の懲役または250万円以下の罰金に処せられる(刑法96条の三第2項)。1941年(昭和16)に公務執行妨害罪の一つに加えられた罪。公正な自由競争により妥当な価格を決定しようとする競売にとって、談合は入札制度の趣旨を没却し、無意味にするため、本罪が設けられている。「談合」とは、入札に参加する者が通謀のうえ、あらかじめ定めた者に落札するよう協定して入札をすることを合意することをいう。本罪は「公正な価格を害しまたは不正の利益を得る目的」を要するが、談合が存在する以上、過当競争による不当なダンピング的行為から業者を保護するなどの特別の場合でない限り、所定の目的があったものと解してよい。
第二次世界大戦後のわが国では、景気を浮揚・維持・安定させる経済政策の一つとして、公共事業が盛んに行われてきた。公共事業は指名競争入札制度により事業の請負業者が決められる。この入札制度において、建設・土木業者が事前に談合し、請負業者を順番で決めるなどして利益は入札に参加した指名業者が互いに配分したりすることがなかば習慣的に行われてきた。しかも、これに政治家が介入して政治献金を得るなど、政治腐敗の原因にもなってきた。このような談合は、刑法に違反するばかりか、不当な取引制限を禁止した独占禁止法にも違反する。公共工事を受注しようとする海外の業者からの批判もあり、公正な競争を確保するために公正取引委員会が排除を勧告することが繰り返し行われてきた。しかし、構造的な談合体質から抜け出せない業者による談合事件は後を絶たない。
[名和鐵郎]
公正な価格を害しまたは不正の利益をうる目的で談合する罪(刑法96条の3-2項)。刑は2年以下の懲役または250万円以下の罰金。公の競売・入札手続の適正な運用をはかるため,1941年の刑法一部改正により,公務執行妨害罪の一つとして新設された。談合とは,競買人または入札者が互いに通謀し,ある特定人を契約者とするために他の者は一定の価格以下または以上で付値しないことを協定することをいう。公正な価格とは談合がなかったならば成立したであろう競落・落札価格をいう。不正の利益とは社会通念上許容される程度を超えた高額な談合金等をさす。なお,事前に適正な最高価格・最低価格を協定することは,入札者側における工事の手抜き,入札者の共倒れを防ぎ,入札実施者,入札者双方の利益になるため,対象とされない。
執筆者:堀内 捷三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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