谷津直秀（読み）ヤツナオヒデ

デジタル大辞泉

やつ‐なおひで〔‐なほひで〕【谷津直秀】

［1876～1947］動物学者。東京の生まれ。東大教授。実験形態学・実験発生学および分類学の発展に貢献。著「動物分類表」「無脊椎動物系統学概論」など。

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

谷津直秀 (やつなおひで)
生没年：1876-1947（明治9-昭和22）

動物学者。東京の生れ。父の仕事の関係から10代の前半を北海道にすごし，自然への関心を高める。1897年東京帝国大学理科大学動物学科に入学。三崎臨海実験所を中心に箕作佳吉の指導下でシャミセンガイの発育を研究。1900年卒業とともに大学院へ進むが，翌年アメリカのコロンビア大学に留学，E. B.ウィルソンに師事し，実験発生学，実験形態学を学ぶ。留学中には1年間ナポリ臨海実験所に渡り，当時最先端の動物学の雰囲気を味わう。06年コロンビア大学講師になるが，翌年帰国し，10年母校東大の講師に採用される。しかし，研究のあり方に不満があってか一時慶応大学に移籍するが，36年再び東大にもどり，38年から定年まで教授として務めた。日本の動物学界に実験的方法を導入した先駆者としての評価は高い。著書に《動物分類表》（1914），《生物学史》（1930）などがある。
執筆者：鈴木 善次

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

20世紀日本人名事典

谷津 直秀
ヤツ ナオヒデ

明治〜昭和期の動物学者 東京帝大名誉教授。

生年

明治10(1877)年9月8日

没年

昭和22(1947)年10月2日

出生地

東京府赤坂(現・東京都港区)

学歴〔年〕

東京帝大理科大学動物学科〔明治33年〕卒,コロンビア大学〔明治38年〕卒

学位〔年〕

理学博士〔明治44年〕

経歴

明治43年東京帝大助教授、大正9年慶応義塾大学教授、11年東京帝大教授・三崎臨海実験所長を歴任。また帝国学士院会員、日本動物学会会頭、動物心理学会会頭を務め、実験動物学を日本に移植した。ヒモムシ、ウリクラゲの研究は有名。著書に「動物分類表」「無脊椎動物系統学概論」「母の愛・動物の母と人の母」「生物学史」「岩波動物学辞典」(共編)、「動植物図の描き方」「生物紀行」などがある。

出典　日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」（2004年刊）

日本大百科全書(ニッポニカ)

谷津直秀
やつなおひで
（1876―1947）

動物学者。東京市に生まれる。1900年（明治33）東京帝国大学理科大学を卒業後、アメリカ、コロンビア大学のウィルソンEdmund Beecher Wilson（1856―1939）のもとで実験形態学の研究を行い、博士号を得た。1907年に帰国し、理科大学講師を嘱託され、1910年には助教授となった。1920年（大正9）慶応義塾大学教授、1922年東京帝国大学教授となり、1938年（昭和13）退官して名誉教授。1936年には帝国学士院会員を命ぜられた。大学在任中は実験動物学（実験発生学、実験形態学、生理学など）の指導・発展に努めた。著書に『動物分類表』『生物学講義』『無脊椎(むせきつい)動物系統学概論』などがある。また、日本動物学会会頭も長年務めた。

［中根猛彦］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

デジタル版 日本人名大辞典+Plus

谷津直秀 やつ-なおひで

1877－1947　明治-昭和時代前期の動物学者。
明治10年9月8日生まれ。コロンビア大で実験発生学をまなぶ。帰国後,母校東京帝大の助教授,慶大教授をへて大正11年東京帝大教授。動物学に実験的研究法を導入した。学士院会員,日本動物学会会頭。昭和22年10月2日死去。71歳。東京出身。著作に「動物分類表」など。

出典　講談社

367日誕生日大事典

谷津 直秀 (やつ なおひで)

生年月日:1877年9月8日
明治時代-昭和時代の動物学者
1947年没

出典　日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」

世界大百科事典（旧版）内の谷津直秀の言及

【系統樹】より

…また見やすいために教育上にも便利なものとして用いられてきた。日本では，池野成一郎による植物の系統樹，谷津直秀による動物の系統樹が広く用いられた。　一般に骨を残さない動物や植物は化石を得ることがひじょうに困難である。…

※「谷津直秀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」