負けるが勝ち(読み)マケルガカチ

デジタル大辞泉 「負けるが勝ち」の意味・読み・例文・類語

けるが

一時相手勝ちを譲り、しいて争わないのが、結局は勝利をもたらすということ。

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ことわざを知る辞典 「負けるが勝ち」の解説

負けるが勝ち

つまらない争いは避け、その場の勝ちは相手に譲るのが賢明で、最終的な勝利につながる。

[使用例] 大人も「お兄ちゃんだから負けてやりなさい。負けるが勝ちでしょう」と、弟たちにはわからない勝利感のあることを教えてもくれた[佐藤貞雄*私の剣道修行|1976]

[使用例] 負けるが勝ちという考えをもっている宗教の勝ちだと思います。つまり、彼らのいうことを、彼らなりに叫んでも、だれも聞かぬ状態が宗教であると思う。具体的効果をめざすというのは政治の世界であって、宗教というのは具体的効果がないのが宗教であると思うのです[遠藤周作こころの不思議、神の領域|1988]

[使用例] “大阪立身”とは“大阪立身、負けるが勝ち”という手まり歌からとられている。大阪は常に江戸政治権力に負ける。しかし名より実を尊んで、商売では必ず儲けるという意味が、この歌にこめられている[桜井秀勲*出版界・表通り裏通り|1995]

[解説] 形式的論理でいえば、勝ちは勝ち、負けは負けにきまっていますが、あえて「負けるが勝ち」と言い切ることで、深く考えさせる逆説的表現です。低次元な勝ち負け体面にこだわらず、広い視野から将来を見据えることが大切ということになります。
 江戸いろはかるたによって広く親しまれた表現で、絵札にはかんしんの股くぐりが描かれていました。韓信は漢の武将で、若いころ無頼漢にからまれても屈辱に耐えて、後に大成した人物です。

英語〕He who fights and runs away, may live to fight another day.(戦って逃れる者は、生き延びてまたの日に戦える)

中国一分度量、一分福(一分の寛容に一分の福)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「負けるが勝ち」の意味・わかりやすい解説

負けるが勝ち
まけるがかち
She Stoops to Conquer

イギリス詩人作家 O.ゴールドスミス喜劇。5幕。 1773年コベントガーデン劇場で初演。初め『間違い続きの一夜』 The Mistakes of a Nightとして執筆。当時流行のセンチメンタル・ドラマにはみられない人物の性格とシチュエーションのおもしろさがある。

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