一分(読み)イチブ

デジタル大辞泉の解説

いち‐ぶ【一分】

重さ・長さや割合などの単位。→分(ぶ)
ごくわずかであることのたとえ。「一分の隙(すき)も見せない」
一分金」「一分銀」の
律令制の書記である史生(しじょう)の異称。公廨稲(くがいとう)の残りを国府の役人に給与するとき、史生の給与が一分であったことからいう。一分の官
自分ひとり。いちぶん。
「私―にては、早速御返答申しがたし」〈浮・其磧諸国〉

いち‐ぶん【一分】

一身の面目。一人前の人間としての名誉。体面。「一分がすたる」
10に分けたものの一つ。転じて、ごくわずかな部分。
「衆生の中に―の仏性无(な)き者有りと云ふ」〈今昔・四・二八〉
自分ひとり。一身。
「三人もろともにしたる事をも、己れが―の手柄立てを言ひまはり」〈仮・可笑記・一〉
同じものとしてみること。同様。
「我とは兄弟―に申しかはせしに」〈浮・一代男・二〉

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大辞林 第三版の解説

いちぶ【一分】

長さの単位。一寸の10分の1。 → ぶ(分)
一割の10分の1。 「二割-」
全体の10分の1。 「 -咲き」
ごくわずかなことのたとえ。 「 -のすきもない」
「一分金」「一分銀」の略。
「一分の官」の略。

いちぶん【一分】

その人の面目。 「男の-が立たない」
分相応。それなりの。 「眼前の人の為に-の利益は為べからんをば/正法眼蔵随聞記」
一様。同様。 「我とは兄弟-に申しかはせしに/浮世草子・一代男 2
ひとり。自身。 「それもてめえ-で済む事か/人情本・閑情末摘花」
[句項目] 一分廃る 一分立つ 一分を捌く

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

いち‐ぶ【一分】

〘名〙
① 古代、諸国の公廨(くがい)を配分する際に諸国の史生(ししょう)、国博士(くにはかせ)、国医師(くにいし)に割り当てられる率。配分法は国の等級により異なるが、これらの官はいずれの場合にも一分。→公廨
※続日本紀‐天平宝字元年(757)一〇月乙卯「凡国司処分公廨式者、〈略〉史生一分、其博士医師准史生例
② 「ししょう(史生)」の別称。
※職原鈔(1340)上「一分召者任諸国史生之名也。史生謂之一分

いち‐ぶん【一分】

〘名〙
① 一〇に分けたものの一つ。十分の一。転じて、ごくわずかの意にも用いる。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「おのが一分とくぶんなし。なにによりてか、なんぢ一分あたらむ」
※読本・昔話稲妻表紙(1806)五「さもあらば我身の罪の一分(イチブン)を減じ」
② 一身。自身。自分ひとり。
※仮名草子・竹斎(1621‐23)上「是を知らぬかと人に思はれん事を悲しみ、一ぶん済まひたる顔をして」
③ 一身の面目、責任。その人、ひとりの分際。→一分が廃(すた)る一分立(た)つ
浮世草子・好色敗毒散(1703)五「是皆身より出たる錆刀、一分に瑕がついたる上は」
④ 同様。一様。
※御伽草子・三人法師(古典文庫所収)(室町末)「十六の年近習一ぶんにて、朝夕召つかはるる間」
⑤ そのことに専念すること。一筋。
※評判記・けしずみ(1677)「こひをはなれてつとめ一ぶんのあひやうなるべし」

いっ‐ぷん【一分】

〘名〙
① (重さの単位) ⇒ふん(分)
② 「いちぶ(一分・一歩)」の異称。
※雑俳・柳多留‐二(1767)「是むす子一(いッ)ぷん捨てる気は無いか」
③ 一時間の六〇分の一。六〇
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一七「ますます退屈に困りはてて、一分(イップン)一日の思ひをして」

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