買(漢字)

普及版 字通 「買(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] バイ
[字訓] かう・もとめる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
网(あみ)+貝。网は網。多くの貝を買い集めて蔵する意。〔説文〕六下に「市(か)ふなり、网貝に從ふ」とし、その网に従う意について、〔孟子、公孫丑下〕「斷(ろうだん)に登りて市利を网す」の文を引くが、字の構造とは関係のない文である。〔左伝、僖二十八年〕にみえる公子買は、字は子叢、また、〔春秋、襄三十一年〕の(きよ)の人「密州」を〔左伝〕に「買朱(ばいしゆしよ)」に作り、密と買とが対応する字である。これによると、買・密・叢の間に、声義の関係があるものと思われる。

[訓義]
1. かう、代価をはらってかう。
2. もとめる、まねく。
3. うる。

[古辞書の訓]
名義抄〕買 カフ・ウル 〔立〕買 カフ・ヲフ・アキナフ・ウル

[声系]
〔説文〕に買声の字二字を収める。賣(売)について〔説文〕六下に「出に從ひ、買に從ふ」とするが、賣はもと(しよく)に作り、贖罪の意。賣買はのちの対待語であろう。

[語系]
買・賣meは同声。〔同源字典〕に売賣を対待の語とし、徐の「物を出だすを賣と曰ひ、取するを買と曰ふ。(た)だ一聲の輕重のみ。~竊(ひそ)かに謂(おも)ふに買賣は本(もと)是れ一字。後其の聲を異にするを以ての故に、出に從ひて以て之れを剔(わか)つ。書傳に買賣二字、互用す」という文を引いている。買売を対待の語とすることは、そのような商行為が、一般的なものとなってからであろう。償も古くは賞を本義とする語であった。買・密が通ずるのは、密mietと声が近いからであろう。

[熟語]
買宴買価買禍買官・買鬼買昏・買山買死買爵買収買舟買售買愁・買春・買笑買嘱・買酔・買青買賤買断・買売買弁・買名・買夜・買憂買誉・買隣・買弄
[下接語]
貴買・競買・故買・買・購買・市買・趣買・旋買・賤買・贈買・売買・不買・来買

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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