賜田(読み)シデン

デジタル大辞泉 「賜田」の意味・読み・例文・類語

し‐でん【賜田】

律令制で、戦功や政治的功績があった者あるいは高位高官の者などに別勅によって与えられた田。別勅賜田。

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精選版 日本国語大辞典 「賜田」の意味・読み・例文・類語

し‐でん【賜田】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、戦功の者や功労のあった者などに、天皇より別勅をもって下賜された田地。別勅賜田。
    1. [初出の実例]「凡別勅賜人田者。名賜田」(出典令義解(718)田)

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改訂新版 世界大百科事典 「賜田」の意味・わかりやすい解説

賜田 (しでん)

日本古代の律令制下で,天皇が特別に詔勅を出して個人に与えた田地。賜田は輸租田で,本来は熟田の給与と思われるが,平安時代の初期には親王内親王に対する荒廃田空閑地等の賜与多く行われた。功田も賜与されるので,広義には賜田と解することもできる。また,賜田の一種と考えられているものに,平安時代に現れる一身田(いつしんでん)がある。本人に限って与えられた田地であるが,摂津国租帳などには賜田と区別して一身田が取り扱われている。田種としての一身田は,むしろ《類聚三代格》にみえる天長1年(824)8月20日太政官符の常荒田の一身間保有と関連する田地の名称であろうか。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「賜田」の意味・わかりやすい解説

賜田
しでん

律令制(りつりょうせい)的土地制度の地目の一つ。別勅をもって特定個人に賜る田で、輸租田(ゆそでん)である。本来熟田(じゅくでん)(水田)であり、一身間のみで返還されるものであった。しかし平安時代、とくに延暦(えんりゃく)~承和(じょうわ)期(782~848)に入ると、熟田よりも荒廃田・空閑地(くがんち)などが多く支給され、また被支給者は親王・内親王が中心となった。この空閑地などには墾田永年私財法が適用されたから、これらの賜田は私財として伝領され、やがて荘園(しょうえん)化していった。

[村山光一]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「賜田」の解説

賜田
しでん

律令制下,天皇が個別の勅で任意に特定個人に与えた田。功田(こうでん)も個別の勅で与えられたので賜田の一種であり,実際に功田を賜田と表記することもある。輸租田。奈良時代には学芸・戦争・外交上の功績を理由とし,10~20町程度の規模のものが多かったが,平安時代になると100町以上の大規模な荒廃田を皇族に賜う例が多くなり,勅旨田と同じ意味をもつようになった。「延喜式」には輸地子田のなかに未授賜田があり,賜田用地は固定されていたようである。

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百科事典マイペディア 「賜田」の意味・わかりやすい解説

賜田【しでん】

律令制で,功績のあった者や身分の高い者などに,特別に天皇が詔勅(しょうちょく)を出して与えた田。勅が出るので別勅(べっちょく)賜田ともいう。奈良時代までは1人に数町程度が普通だったが,平安時代には皇族に広大な賜田を与え,荘園成立の一因となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賜田」の意味・わかりやすい解説

賜田
しでん

令制において政治上,軍事上に特に功績のあったものや,高位高官または天皇側近のものが特別の勅旨によって賜わった田地。別勅賜田ともいう。奈良時代には数十町歩までであったが,平安時代には数百町歩となったため輸租田ではあったが,荘園制成立の一因となった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「賜田」の解説

賜田
しでん

律令制下,功労ある人物に与えられた田
功田とは別に戦功者・政治上の功労者・高位高官者に与えられたが,功田と区別がつかない場合もある。輸租田であったが,しだいに不輸租田化し,永代私領となることも多く,荘園発達の一因となった。

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普及版 字通 「賜田」の読み・字形・画数・意味

【賜田】しでん

田をたまう。

字通「賜」の項目を見る

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