精選版 日本国語大辞典「賜」の解説
たもう・る たまうる【賜】
〘他ラ四〙 (「たまわる(賜)」の変化したもの) 下さる。補助動詞としても用いる。
※史記抄(1477)七「酒ての手しるしをはとてもたまうるまいものゆへ」
たまわ‐・す たまは‥【賜】
たも・る【賜】
[一] 下さる。くれる。
※虎明本狂言・連歌毘沙門(室町末‐近世初)「二人に下さるると仰られたとおしゃったほどに、半分はみどもにもたもれ」
[二] 動詞に「て」のついた形について、補助動詞として用いる。多く、目下に対し丁寧に言う気持を表わし、敬意はあまり高くない。…て下さる。…てくれる。
※虎明本狂言・人馬(室町末‐近世初)「馬にかっこうするほどのましてたもらうず」
たまわり たまはり【賜】
〘名〙 (動詞「たまわる(賜)」の連用形の名詞化) いただくこと。また、いただくもの。「御たまわり」の形で、貴人などの特別の恩顧によって官職などをいただくことをいう。とうばり。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「かれこれの御たまはり、しに侍るなれど」
たば‐・す【賜】
〘他サ下二〙 (動詞「たぶ(賜)」の未然形に敬意を強める助動詞「す」の付いてできたもの)
[一] おあたえになる。下賜される。たまわす。
※京大本竹取(9C末‐10C初)「此女若し奉る物ならば翁にかうぶりをなどかたばせざらん」
[二] 特に「たばせたまう」の形で補助動詞的に用いる。…して下さる。
※平家(13C前)一一「あの扇の真中射させてたばせ給へ」
たも【賜】
(動詞「たもる(賜)」の命令形「たもれ」の変化したもの)
[一] 下さい。おくれ。
※浮世草子・新色五巻書(1698)三「『又は盃こちへたも』といへば」
[二] 動詞に「て」のついた形について、補助動詞として用いる。…て下さい。…ておくれ。
※俳諧・西鶴五百韻(1679)何餠「見世の先へ朝毎には来れとも〈西六〉 お帰りやったらかういふてたも〈西吟〉」
とうば・る たうばる【賜】
〘他ラ四〙 (「たまわる(賜)」の変化した語) たまわる。いただく。頂戴する。
※書紀(720)天武一二年一二月(北野本訓)「是を以て百寮の者各往りて家地を請(タウハレ)」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報