(読み)タマモノ

デジタル大辞泉 「賜」の意味・読み・例文・類語

たま‐もの【賜/賜物】

恩恵や祝福として与えられたもの。たまわりもの。「水は天からの―」
あることの結果として現れたよいもの、または事柄。成果。「努力の―」
[類語]恩義芳恩恩恵恩沢恵沢恵みお蔭

し【賜】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]たまわる たまもの
上位の者が下位の者に物などを与える。たまう。たまわる。たまもの。「賜暇恩賜下賜賞賜天賜
[名のり]たま・ます

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精選版 日本国語大辞典 「賜」の意味・読み・例文・類語

たま‐もの【賜・賜物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 賜わったもの。くだされもの。褒美(ほうび)の品物。恩賞。
    1. [初出の実例]「天皇、功(いさをしさ)を定め、賞(タマモノ)を行ひたまふ」(出典:日本書紀(720)神武二年二月(北野本訓))
  3. 贈り物
    1. [初出の実例]「先師、季節の一つも探り出したらんは後世によき賜(たまもの)と也」(出典:俳諧・去来抄(1702‐04)故実)
  4. 俸祿。知行。給料。〔文明本節用集(室町中)〕
  5. ( 「…のたまもの」の形で ) その人から得た、また、その結果として得たよい事やもの。よい結果。おかげ。
    1. [初出の実例]「此鉄道は、近年竣工せる、『カントリー』太平会社の大建築にて、今車中に安眠し、此をすぎるは、其賜によるなり」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
    2. 「斎藤茂吉君、島木赤彦君及び光風館主、四海多実三君の多大なる同情の賚(タマモノ)である」(出典:食後の唄(1919)〈木下杢太郎〉自序)

たまわりたまはり【賜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「たまわる(賜)」の連用形名詞化 ) いただくこと。また、いただくもの。「御たまわり」の形で、貴人などの特別の恩顧によって官職などをいただくことをいう。とうばり
    1. [初出の実例]「かれこれの御たまはり、しに侍るなれど」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
    2. 「つかさめしのころこの宮の人は給はるべきつかさもえず、大方の道理にても、宮の御給はりにても、かならずあるべき加階などをだにせずなどして嘆く類いと多かり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)

たも【賜】

  1. ( 動詞「たもる(賜)」の命令形「たもれ」の変化したもの )
  2. [ 一 ] 下さい。おくれ。
    1. [初出の実例]「『又は盃こちへたも』といへば」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)三)
  3. [ 二 ] 動詞に「て」のついた形について、補助動詞として用いる。…て下さい。…ておくれ。
    1. [初出の実例]「見世の先へ朝毎には来れとも〈西六〉 お帰りやったらかういふてたも〈西吟〉」(出典:俳諧・西鶴五百韻(1679)何餠)

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普及版 字通 「賜」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

[字音]
[字訓] たまう・たまもの

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は易。易は賜の初文で、爵から酒を注ぐときの注ぎ口と、下の把手と、注ぐ酒とを象形的にしるした字。のち貝など財貨を賜うことが多くて賜の字となったが、古くは爵酒を賜うことが恩賞とされた。経籍には錫の字を用いることが多いが、これは或いは彝器(いき)の料として赤金(銅)を賜うたことの名残であろう。すべて上より与えられるものをいい、〔礼記、檀弓下〕には「賜を受けて死す」のような語がある。

[訓義]
1. たまう、たまもの、あたえる、めぐみ。
2. 上よりあたえられる、いいつけられる、ほどこす。
3. と通じ、つきる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕賜 タマフ・ツク・タマヒモノ 〔字鏡集〕賜 ツクス・タマフ・タマヒモノ・ツク・ホドコス・マサ・メグム・オモフ

[熟語]
賜衣・賜位賜慰賜謁・賜宴・賜仮・賜火・賜額・賜官・賜函・賜給・賜魚・賜・賜錦・賜恵・賜・賜見・賜剣賜献・賜遣賜顧賜巧・賜告・賜祭・賜策・賜賜諡・賜氏・賜死・賜施・賜紫賜爵・賜酒・賜・賜書・賜賞・賜杖・賜食・賜賑賜姓・賜膳賜胙・賜族・賜地・賜第・賜田・賜復・賜覆・賜賜邑・賜与賜賚・賜履
[下接語]
遺賜・宴賜・恩賜・下賜・加賜・嘉賜・給賜・享賜・欽賜・君賜・勲賜・恵賜・慶賜・献賜・厚賜・告賜・策賜・手賜・受賜・詔賜・賞賜・上賜・辱賜・賑賜・親賜・贈賜・多賜・致賜・賜・天賜・特賜・拝賜・分賜・奉賜・報賜・褒賜・予賜・賚賜・礼賜・労賜

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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