賢俊(読み)ケンシュン

デジタル大辞泉 「賢俊」の意味・読み・例文・類語

けん‐しゅん【賢俊】

かしこくて、すぐれていること。また、その人。

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精選版 日本国語大辞典 「賢俊」の意味・読み・例文・類語

けんしゅん【賢俊】

  1. 南北朝前期の真言宗の僧。日野俊光の子。三宝院の賢助師事醍醐寺座主、根来寺座主、東寺長者足利尊氏護持僧となり、常に随身した。政治機密にも参画し、洞院公賢の日記「園太暦(えんたいりゃく)」に「栄耀至極、公家武家権勢比肩無きの人」と書かれた。醍醐寺の諸伽藍(がらん)を再建し、新三宝院を造営した。「賢俊僧正日記」がある。菩提寺大僧正。正安元~延文二年(一二九九‐一三五七

けん‐しゅん【賢俊】

  1. 〘 名詞 〙 賢くすぐれていること。また、その人。
    1. [初出の実例]「所以聖賢深化満溢乾坤之外、賢俊茂跡浮流宇宙之間」(出典経国集(827)二〇・大日奉首名対策文)
    2. [その他の文献]〔漢書‐元帝紀〕

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改訂新版 世界大百科事典 「賢俊」の意味・わかりやすい解説

賢俊 (けんしゅん)
生没年:1299-1357(正安1-正平12・延文2)

鎌倉末~南北朝初期の僧侶。第65代醍醐寺座主,菩提寺僧正と号す。権大納言日野俊光の子で,三宝院賢助を師として出家。醍醐寺内は持明院・大覚寺両統と結ぶ2派の抗争がつづくが,持明院統に親密の日野家の出である賢俊は一貫して持明院統側に立ち,とくに後醍醐天皇の寵をうけて権勢を振るった文観(もんかん)(弘真)と激しく一山の主導権を争った。1336年(建武3),京都周辺の戦いに敗れ西走する足利尊氏に光厳上皇院宣授与を仲介し,以後行動を共にする。室町幕府成立後は尊氏の信任一身に受け,醍醐寺座主,東寺長者,法務等に任じ,観応の擾乱に際しても後事を光済に託して従軍した。正平一統後,後光厳天皇擁立に際しても,神鏡の容器を神器代役として義詮や北朝の危機を救うなど,〈将軍門跡〉にふさわしい活躍をし,政界に醍醐寺の地位を固めると同時に,一山内に三宝院の主導権を確立した。《賢俊僧正日記》2巻がある。
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朝日日本歴史人物事典 「賢俊」の解説

賢俊

没年:延文2/正平12.7.16(1357.8.2)
生年:正安1(1299)
南北朝時代の真言宗の僧。武家の護持僧となり醍醐教団全盛を現出した。日野俊光の子。賢助から伝法灌頂を受け,三宝院21世となる。後醍醐天皇の護持僧だった文観を,足利尊氏と結び追放。建武3/延元1(1336)年3月,醍醐寺座主となり,東寺長者,根来寺座主をも兼ねて真言教団の頂点に立つ。また同寺内部の南朝支持派の寺領を没収して三宝院に統合し,座主職を同院の独占とした。室町前期の同寺黄金時代は,時勢を見抜いた賢俊のしたたかな政治力が大きい。卓抜な連歌作者,歌人でもあった。<参考文献>橋本初子「三宝院賢俊僧正日記」(醍醐寺文化研究所『研究紀要』12号)

(正木晃)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「賢俊」の解説

賢俊 けんしゅん

1299-1357 鎌倉-南北朝時代の僧。
正安(しょうあん)元年生まれ。日野俊光の子。真言宗。醍醐寺(だいごじ)宝池院の賢助にまなぶ。建武(けんむ)3=延元元年九州に敗走した足利尊氏に光厳(こうごん)上皇の院宣(いんぜん)をつたえる。尊氏の帰依(きえ)をうけて醍醐寺座主(ざす),東寺長者,根来寺(ねごろじ)座主をつとめる。新三宝院をたて,将軍門跡(もんぜき)とよばれる。連歌作者,歌人としても知られた。延文2=正平(しょうへい)12年閏(うるう)7月16日死去。59歳。日記に「賢俊僧正日記」。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「賢俊」の意味・わかりやすい解説

賢俊
けんしゅん

[生]正安1(1299)
[没]正平12=延文2(1357).閏7.16. 京都
南北朝時代の真言僧。延元1=建武3 (1336) 年備後の鞆に在陣中の足利尊氏に光厳上皇の院宣を持参し,京都復帰の足掛りをつくったことにより,室町幕府から重用された。同年醍醐寺座主,興国1=暦応3 (40) 年東寺一長者となる。

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普及版 字通 「賢俊」の読み・字形・画数・意味

【賢俊】けんしゆん

俊賢。

字通「賢」の項目を見る

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