(読み)ケン

デジタル大辞泉 「賢」の意味・読み・例文・類語

けん【賢】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(漢) [訓]かしこい さかしい
才知・人格がすぐれている。かしこい人。「賢愚賢人賢哲賢母賢明諸賢聖賢先賢
相手への敬意を表す語。「賢兄賢察賢台
[名のり]かた・かつ・さか・さかし・さと・さとし・さとる・すぐる・たか・ただ・ただし・とし・のり・まさ・まさる・ます・やす・よし・より

けん【賢】

[名・形動ナリ]
かしこいこと。学徳のすぐれていること。また、そういう人や、そのさま。
至りて愚かなる人は、たまたま―なる人を見て、これを憎む」〈徒然・八五〉
濁酒清酒を「聖」というのに対する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「賢」の意味・読み・例文・類語

けん【賢】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 形動 ) 学徳のすぐれていること。かしこいこと。また、そのさまや、その人。
      1. [初出の実例]「聖上挙賢、内任此人」(出典:続日本紀‐天平宝字二年(758)二月己巳)
      2. 「至りて愚かなる人は、たまたま賢なる人を見て、これを憎む」(出典:徒然草(1331頃)八五)
      3. [その他の文献]〔易経‐大畜卦〕
    2. 聖人の次に位すべき学徳をそなえた人。〔荀子‐哀公〕
    3. ( 清酒を「聖」というのに対して ) 濁酒をいう。〔杜甫‐飲中八仙歌〕
    4. 仏語。小乗で、聖者の位につぐ見道(けんどう)以前の悪をはなれた人。大乗で、十住、十行、十廻向の三つをいう。
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 相手に関する物事につける敬称。「賢台」「賢兄」「賢察」など。

さかし【賢】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙さかしい(賢)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「賢」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

[字音] ケン
[字訓] かしこい・まさる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(けん)。は賢の初文。〔説文〕六下に「多才なり」とみえる。〔書、金〕に「予(わ)が仁は考(ちち)(文王)の(ごと)く、能く多材多にして、能く鬼に事(つか)ふ」とあり、多才多芸は神に事える者の条件であった。は手((ゆう))で眼睛を破る意。そのような瞽者が神に事えるもの(臣)とされ、その多才なるものは神瞽とよばれ、賢者とされた。は〔説文〕三下に「古以て賢の字と爲す」とあり、漢碑や〔魏石経〕にもなおの字を用いている。もと聖職者をいい、のち聖賢をいう。(聖)もまた、神の声を聞きうるものをいう。

[訓義]
1. かしこい、神につかえるもの。
2. まさる、よい、すぐれる、たっとぶ。
3. ゆたか、とむ、おおい、多財。
4. つかれる。
5. 堅と通じ、かたい、大きい。
6. 酒の隠語。魏の武帝が禁酒令を出したので、人は白酒を賢といった。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕賢 カシコシ・サカシ・マサレリ・イタハル・カト・ヨシ・タカシ・ヒジリ・ミル・マサル・タダス・ヒロシ・カタシ 〔字鏡集〕賢 タダス・タカシ・ヒジリ・ミル・ヒロシ・イタハシ・マサレリ・サカシ・マス・マサル・カシコシ・マサ・タタ・ヨシ・カタシ・オホシ

[熟語]
賢英賢媛・賢可・賢歌・賢閣・賢関・賢義・賢愚・賢君・賢兄・賢契・賢慧賢彦・賢・賢巧・賢行・賢抗・賢豪・賢佐・賢才・賢妻賢哉・賢宰・賢材・賢察・賢士賢子・賢師・賢資・賢者・賢主・賢酒・賢淑・賢俊賢儁賢肖・賢相・賢将・賢勝賢臣・賢人・賢聖・賢台・賢達・賢智・賢知・賢長・賢弟・賢哲・賢東・賢徳・賢能・賢妃・賢否・賢婦・賢父・賢母賢輔・賢明・賢友・賢勇・賢雄賢吏・賢慮賢良・賢令・賢路賢郎・賢労
[下接語]
遺賢・英賢・往賢・群賢・古賢・高賢・至賢・七賢・俊賢・諸賢・尚賢・上賢・仁賢・聖賢・先賢・前賢・大賢・知賢・忠賢・能賢・名賢・明賢・優賢

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android