走馬灯(読み)ソウマトウ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

走馬灯
そうまとう

回り灯籠(どうろう)。風車や炎による空気の対流作用で回る影絵の紙灯籠。中国から伝来したもので、江戸時代初期、宗教的色彩の濃いものからしだいに変化して、元文(げんぶん)年間(1736~41)以後、遊戯的な技巧やくふうが加えられ、夏の納涼玩具(がんぐ)として発達した。江戸では錦絵(にしきえ)の版下職人などの内職として商品化されたほか、家庭の細工物としても普及した。現在も夜店などで売られる。構造は、薄紙または寒冷紗(かんれいしゃ)で四方を張った角形の枠の中に、紙をいろいろな形に切り抜いたものを取り付けた筒を入れる。筒は上部を風車式にして回転できる。中心にろうそくを立てると、炎が起こす気流の動きで筒の部分が回転し、シルエット風な形が外側の紙に巡って映る。[斎藤良輔]

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精選版 日本国語大辞典の解説

そうば‐とう【走馬灯】

※如是放語(1898)〈内田魯庵〉「俄に周章狼狽する滑稽的走馬燈(サウバトウ)は軈(やが)て卿等が眼前に躍動せんとするにあらずや」 〔通俗編‐俳優〕

そうま‐とう【走馬灯】

〘名〙 影絵のしかけをした回り灯籠。内外二重につくった灯籠の内枠の面にいろいろの切ぬきの絵をはり、中央に軸をつけて上に風車を設ける。火を点ずると上昇気流で風車が回り、それにつれて内枠も回転し、内枠の絵の影が回りながら外枠の面にうつるしかけになっている。まわりどうろう。舞灯籠。影灯籠。そうばとう。《季・夏》
童子問(1707)中「天地日月、皆莫斯気而行。若走馬燈然」
※春潮(1903)〈田山花袋〉一六「自分の恋の時代の過ぎ去ったといふ考とやさしい孝子の真心とが走馬燈のやうに烈しく急に廻り出して」

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世界大百科事典内の走馬灯の言及

【幻灯】より

…19世紀後半はこれら幻灯の黄金時代であり,パリの有名なサロン,キャバレー〈黒猫〉などでは盛んに上映会も行われた。 東洋ではイスラム神秘主義の流入とともに15世紀ころ根づいたジャワの影絵ワヤン,日本では江戸期に流行しだした走馬灯など,映像演劇,映像玩具がわずかに存在した。西洋の幻灯は江戸時代後期に〈エキマン鏡〉の名で日本に渡来,早速大坂で見世物になった。…

【回り灯籠】より

…〈影灯籠〉〈舞灯籠〉ともいい,漢語では〈走馬灯〉という。灯籠に影絵を応用したもので,人や馬その他のものを多くはシルエット風に紙で切り抜いたものを,灯籠の中に設けた軸にとりつけて回転させると,灯籠の外側の紙にそれらの像の影が駆けめぐるように映ずるしくみになっている。…

※「走馬灯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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