〈影灯籠〉〈舞灯籠〉ともいい,漢語では〈走馬灯〉という。灯籠に影絵を応用したもので,人や馬その他のものを多くはシルエット風に紙で切り抜いたものを,灯籠の中に設けた軸にとりつけて回転させると,灯籠の外側の紙にそれらの像の影が駆けめぐるように映ずるしくみになっている。軸の回転のしかけの一つに風車や炎による気流も使われた。江戸時代初期の俳諧にみえており,その一句に〈よ(夜,世)を厭ふ姿か月のかげ法師/かしこきちゑの回灯籠〉(《鷹筑波集》)というのがある。家庭で細工し,夏の夕べ軒端につるして人に見せたりした。江戸時代後半はあまり作られなかったが,それでも明治時代以降にも残った。また西洋のこの種のおもちゃに〈活動のぞき絵zoetrope(wheel of life)〉があり,円筒の中で絵を回転させて,円筒に設けたのぞき穴から見る。絵は漫画映画のフィルムの絵のように描き,回転すれば映画のように活動して目に映じる。日本でも作られた。
執筆者:山田 徳兵衛
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…人物や鳥獣などに似せた形を灯火に照らして,障子や壁,白い幕などに写す遊び。日本では江戸時代初期から始まり,手影絵,切抜き影絵などの遊びに用いられたほか,回り灯籠にもつかわれている。幻灯初期の写絵もまた影絵と呼ばれた。…
…アレクサンドリアのヘロンもこのような装置を考案していたといわれている。日本に古くからある回り灯籠も同じ原理である。この種の装置で実用になったのは中世ヨーロッパで使用されたスモークジャックsmoke jackと呼ばれるもので,暖炉の煙突の中に羽根車を置いたものである。…
※「回り灯籠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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