超速効型インスリン製剤(読み)チョウソッコウガタインスリンセイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「超速効型インスリン製剤」の解説

超速効型インスリン製剤

製品名
《インスリンアスパルト製剤》
ノボラピッド(ノボノルディスクファーマ)
《インスリングルリジン製剤》
アピドラ(サノフィ)
《インスリンリスプロ製剤》
ヒューマログ(日本イーライリリー

 インスリン療法適応となる糖尿病に用いる薬で、インスリンアスパルト製剤インスリンリスプロ製剤は持効型インスリン製剤と、インスリングリルジン製剤は、中間型または持効型インスリン製剤と併用することがあります。


 注射してから効果が出るまでに10~20分と早く、食事時間が不規則となった場合の対応が可能です。また、作用の持続時間は3~5時間と短いので、次の食前夜間低血糖の発現リスクが少なくなります。


①もっとも注意しなければならないのは低血糖です。これは、血糖値が下がりすぎるために脳がエネルギー不足におちいり、けいれんがおこったり、意識が薄れたりする副作用です。このような症状があるときは、必ず医師の診察を受けてください。


 低血糖をおこさないために、食事は、1日3食、規則正しくとってください。1食抜いたり、激しい運動を行った場合、低血糖をおこしがちです。


 体がふらついたり、手が震えたりするのは、低血糖の前兆のことが多いのです。前兆らしい症状に気づいたら、ブドウ糖10gまたは砂糖20g程度、あるいはブドウ糖を含むジュースなどをとってください。低血糖を予防することができます。


 いったん低血糖がおこると、治まったあと数日は、また再発する危険があります。いつもスティックシュガーやブドウ糖ゼリーなどを持ち歩くようにしましょう。


②過敏症状(発疹ほっしんかゆみなど)、ショック、アナフィラキシーがおこることがあります。そのほか、インスリンアスパルト製剤では血管神経性浮腫がおこることがあります。このような症状が現れたら使用を中止して、すぐ医師に相談してください。


③多汗、振戦、注射部位反応(痛み、発赤、腫脹しゅちょう硬結など)、インスリンリスプロ製剤では、リポディストロフィー(皮下脂肪萎縮肥厚など)、糖尿病性網膜症の顕在化または増悪がおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


①さまざまな形式の自己注射剤で、毎食直前に皮下注射します。症状の程度によって目標血糖値に応じた使用量などが異なりますので、1日の使用量、使用時間などについては医師の指示をきちんと守り、かってに中止したり、増量・減量しないでください。


 また、皮下注射する部位は、腹部大腿部、上腕部、臀部などに行います。使用部位により吸収速度が異なり、その結果、作用発現時間が異なるので部位を決め、そのなかで注射場所を毎回変えましょう。


 使用にあたっては、十分な教育訓練を受け、必ず添付の使用説明書を読んでください。また、器具の廃棄方法や低血糖の注意などについて十分な指導を受けてください。


②低血糖症状が現れている人、この薬の成分に対して過敏症の既往歴のある人には使用できません。


 また、インスリン需要の変動が激しい人(手術・外傷・感染症などのある人、妊婦)、重症の肝・腎機能障害のある人、脳下垂体機能不全または副腎皮質機能不全の人、下痢・嘔吐おうとなど胃腸障害のある人、飢餓状態・不規則な食事摂取の人、激しい運動をする人、大量飲酒、血糖降下剤を服用している人、自動車運転・高所作業などに従事している人、自律神経障害の人、高齢者は医師に相談してから用いてください。


③インスリンの用量が不足した場合に、高血糖をおこすことがあります。用量には十分注意しましょう。


④この薬を使用中に他の薬を使用する必要が生じた場合は必ず医師に相談してください。


服用する薬によってちがいはありますが、血糖降下剤三環系抗うつ剤サリチル酸系解熱鎮痛剤シクロホスファミド水和物βブロッカー製剤モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤などと併用すると、血糖降下作用が増強して、低血糖がおこりやすくなることがあります。


 また、チアジド系降圧利尿剤副腎皮質ホルモン剤甲状腺ホルモン剤卵胞ホルモン剤利尿剤、抗結核剤のイソニアジドと併用すると、血糖降下作用が減弱し、高血糖がおこりやすくなることがあります。


 蛋白同化ステロイド剤などとの併用は、血糖降下作用が増強または減弱することがあります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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