軍事上の秘密を保護することを目的として1899年7月15日に公布された法律。軍事上の秘密保護に関しては,すでに刑法,陸海軍刑法,新聞紙条例,出版法,軍用電信法中の諸規定などが存在していたが,より包括的な法規として,〈軍事上秘密ノ事項又ハ図書物件〉の〈探知収集〉〈漏洩〉,軍事施設の〈測量模写撮影〉などを取り締まる同法が制定された。その後,1937年8月には,〈広義国防〉の観点からの大改正が行われ,内容が整備され取締りが強化されるとともに,軍事上の秘密の範囲,種類についても陸海軍大臣が命令によってこれを定めることとされた。41年3月にも改正。同法は軍事上の秘密の定義があいまいであったため,何ら秘密に属さない事項まで取締りの対象とされ,国民の知る権利や言論の抑圧に大きな力を発揮した。社会から隔絶した軍部の地位を保障した法規の一つである。45年10月13日,ポツダム勅令によって廃止された。
→国防保安法
執筆者:吉田 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…そして戦争のためのこのような国内体制を可能とする徹底的な思想統制が,この戦時法によって行われた。軍機保護法(1899公布),軍用資源秘密保護法(1939公布)などによって,軍隊・軍需工場の秘密の探知・収集漏泄・公示などが死刑をふくむ厳罰に処せられた。国家総動員法は外交・財政・経済政策など国策上の官庁機密の報道・掲載を禁止し,新聞その他の出版物は掲載の制限・禁止,発売・頒布の禁止,原版差押えという報道・出版統制の下におかれた。…
※「軍機保護法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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