転かす(読み)コカス

デジタル大辞泉 「転かす」の意味・読み・例文・類語

こか・す【転かす/倒かす】

[動サ五(四)]
ころばす。ころっところがす。たおす。「植木鉢を―・す」
他の場所へ移す。また、どこかに隠す。
ぬすみてはやく―・す折、小者に見られて」〈読・八犬伝・五〉
ごまかす。だます。また、くすねる。
「野暮を―・して丸裸にする方便てだてあまたなれば」〈浮・元禄大平記〉
[接尾]《動詞四段型活用》動詞の連用形に付いて、その意を強める。すっかり…する。さんざんに…する。
田畠さらりと売り―・し」〈浮・沖津白波〉
[類語]倒すひっくり返すくつがえ転がす転ばす裏返す翻す跳ね返す転覆逆転逆様寝かす横たえる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「転かす」の意味・読み・例文・類語

こか・す【転・倒】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
    1. たおす。よこにする。ころがす。
      1. [初出の実例]「擿 ナグ ウツ コカス」(出典:観智院本名義抄(1241))
    2. ( 女を寝かせるの意から ) 女をものにする。
      1. [初出の実例]「此鶴松をやすふこかさふと思ひ」(出典:洒落本・箱まくら(1822)上)
    3. 人や物を他の場所に移す。動かす。また、どこかに隠す。
      1. [初出の実例]「玉はどっちへこかしおった。ぬかせぬかせと掴(つかみ)付く」(出典浄瑠璃神霊矢口渡(1770)四)
      2. 「軽く成った掛蒲団を足の先で裾の方へこかして」(出典:土(1910)〈長塚節〉二七)
    4. 相手をこちらの術中におとしいれる。だます。一杯食わせる。また、くすねる。
      1. [初出の実例]「奴とおやぢの巧にて施主こかさんとせられしを」(出典:評判記・赤烏帽子(1663)山本金作)
      2. 「鼠ども出立(でたち)の芋をこかしけり〈丈草〉」(出典:俳諧続猿蓑(1698)旅)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ( 四段型活用 ) 動詞の連用形に付いてその意を強める。すっかり…する。さんざんに…する。
    1. [初出の実例]「田畠さらりと売こかし」(出典:浮世草子・沖津白波(1702)五)

転かすの補助注記

自動詞コクの他動詞形。「観智院本名義抄」の「擿」にはコクとコカスの両訓がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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