近藤憲二(読み)コンドウ ケンジ

20世紀日本人名事典 「近藤憲二」の解説

近藤 憲二
コンドウ ケンジ

大正・昭和期のアナキスト 日本アナキスト連盟書記長



生年
明治28(1895)年2月22日

没年
昭和44(1969)年8月6日

出生地
兵庫県氷上郡前山村

学歴〔年〕
早稲田大学専門部政経科〔大正5年〕卒

経歴
大正3年大杉栄を知り、アナキズム運動に参加、山崎今朝弥の平民講演や渡辺政太郎の研究会(後の北風会)に出入りし、6年売文社に入った。8年大杉らの第1次「労働運動」の編集実務に従事。9年日本社会主義同盟の発起人として機関紙「社会主義」の編集に当たった。15年黒色青年連盟の結成に参加、間もなく退会。安成二郎らと「大杉栄全集」(全10巻)を編集した。昭和に入りアルス平凡社などに勤め、12年堺利彦長女真柄と結婚。戦後21年石川三四郎らと日本アナキスト連盟を結成、書記長となった。著書に「一無政府主義者の回想」「私の見た日本アナキズム運動史」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「近藤憲二」の意味・わかりやすい解説

近藤憲二
こんどうけんじ
(1895―1969)

無政府主義者。兵庫県生まれ。1912年(明治45)早稲田(わせだ)大学専門部政経科入学。在学中読んだ大杉栄(さかえ)『生の闘争』に感銘を受け、大杉を訪問。それを機に無政府主義者渡辺政太郎(まさたろう)の主宰する研究会(のち北風会)などに出入りする。早大卒業後、東京毎日新聞社や堺利彦(さかいとしひこ)の売文社で働く。19年(大正8)大杉らの第一次『労働運動』の同人となり、20年には日本社会主義同盟の創立に参加、機関紙『社会主義』の編集にあたった。また大杉の死後『大杉栄全集』全10巻(1926)の編集・刊行に力を尽くした。アナ・ボル対立が激化するとアナキズム陣営にたって争議の応援、講演会などに活躍した。26年には黒色青年連盟結成に参加するが、その後「純正アナキズム」派の暴力的傾向に反対して脱退。また日本労働組合自由協会派を支持した。第二次世界大戦後は46年(昭和21)日本アナキスト連盟を結成、書記長となった。夫人は堺利彦の長女で女性運動家の近藤真柄(まがら)(1903―83)。

[北河賢三]

『近藤憲二著『一無政府主義者の回想』(1965・平凡社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「近藤憲二」の意味・わかりやすい解説

近藤憲二 (こんどうけんじ)
生没年:1895-1969(明治28-昭和44)

大杉栄死後のアナーキズム運動の指導者。兵庫県生れ。早稲田大学専門部政経科在学中,大杉に会いアナーキズム運動に参加。1919年以降大杉らと3次にわたって《労働運動》を刊行し活躍した。大杉虐殺後第4次・第5次《労働運動》を発行しアナーキズム運動を継続。26年黒色青年連盟を結成,同年《大杉栄全集》(全10巻)を刊行した。37年堺真柄(まがら)と結婚。第2次世界大戦後日本アナキスト連盟を結成し書記長に就任。著書に《一無政府主義者の回想》などがある。
執筆者:

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「近藤憲二」の解説

近藤憲二 こんどう-けんじ

1895-1969 大正-昭和時代の社会運動家。
明治28年2月22日生まれ。近藤真柄(まがら)の夫。大杉栄と新聞「労働運動」を発行。大正9年日本社会主義同盟結成の発起人となる。昭和21年石川三四郎らと日本アナキスト連盟を設立。昭和44年8月6日死去。74歳。兵庫県出身。早大卒。著作に「一無政府主義者の回想」など。

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367日誕生日大事典 「近藤憲二」の解説

近藤 憲二 (こんどう けんじ)

生年月日:1895年2月22日
大正時代;昭和時代のアナキスト
1969年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の近藤憲二の言及

【大杉栄】より

…18年亀戸の労働者街に移住し,野枝と《文明批評》(1~3月)を,和田久太郎,久板卯之助らと《労働新聞》(4~7月)を創刊。第1次大戦後,労働運動が高まっていくなかで,自主自活的労働の促進を目的とする《労働運動》を19年に近藤憲二,和田,久板らと創刊する。また〈演説もらい〉(演説会への殴り込み)を中心に活動を行う。…

※「近藤憲二」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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