秋田県仙北市にある淡水湖。面積は約26平方キロメートルで、火山活動に伴うカルデラ湖との説があるが、まだ十分な裏付けはない。かつては北海道の摩周湖に次ぐ透明度があり、固有種のクニマスなど多数の生物がすむ湖だったが、1940年代からの水質悪化で多くが死滅したとされる。クニマスは2010年、山梨県の西湖で約70年ぶりに生息を確認。東京海洋大客員准教授の「さかなクン」らが発見に協力したことや、天皇陛下がクニマスを「奇跡の
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秋田県東部の陥没カルデラ湖。ほぼ円形をなし,直径約6km,周囲20km,面積25.5km2,水面の標高は249m。最大深度の423.4mは日本一。東岸の春山付近は遠浅の砂浜であるが,北岸の御座の石直下は高さ25mに達する断崖である。一般に湖岸から1km前後で深度400mに達し,急に深まるが,湖盆中央は広い平たん面で,湖底南西端に水深29mの辰子堆,中央部北西に水深253mの振興堆の小丘があり,後者は火口丘といわれる。典型的貧栄養湖で透明度は大きく,1931年の観測では最大透明度33mで,摩周湖に次ぐ日本第2位を記録した。湖水は西岸の潟尻より潟尻川となって流出するが,水位の年間変化は1m程度で,冬季も凍結しない。40年以降は,酸性の強い玉川毒水の希釈,電源開発,国営開拓などの多目的調整池として利用され,玉川河水を下田沢地区より引水,湖水の一部を南東岸より生保内(おぼない)発電所に流下させた。このため湖水はpH4.6程度となり,水位も著しく低下した。田沢カルデラの外輪山は,南西の院内岳(751m)以外はおおむね500m前後で,湖面との比高は小さく,曲線的な稜線とあいまって女性的景観を呈する。かつてはクニマスなどが生息し,漁業も行われたが,毒水注入後,魚類はいったんは絶滅,玉川上流の毒水希釈作業の進展に伴い,今はウグイ,イワナ類が生息している。抱返(だきがえり)渓谷とともに県立自然公園に指定され,田沢湖有料道路(現在は無料開放)が整備されてからは観光施設も整い,観光客も増加した。別名辰子潟の由来を伝える湖水の主,美少女辰子姫の伝説が残るが,辰子姫は現在,御座の石神社にまつられ,潟尻には〈たつこの像〉がある。秋田新幹線(田沢湖線)田沢湖駅からバスが通じる。
執筆者:北条 寿
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秋田県中東部にある湖。田沢火山の陥没によって生じたカルデラ湖といわれる。東西約6キロメートル、南北約5.8キロメートルの円形をなし、面積25.8平方キロメートル、周囲20キロメートル。最大深度は423.4メートルで日本最深の湖である。湖水の透明度は最大値33メートルを記録しており、湖水の色はフォーレルⅠ~Ⅱで美しい藍(あい)色を呈する。湖は円筒状で、水面から400メートルまでは急崖(きゅうがい)をなし、湖底は海面下173メートルに達する。湖岸は単調で、部分的に小規模の沖積平野がある。流入河川はなく、湖底の湧水(ゆうすい)が多い。西部の潟尻(かたじり)と北部の相内(あいない)潟から檜木内(ひのきない)川へ排水している。1940年(昭和15)水力発電所建設の際、湖の水位を調節するために玉川の強酸性の水を導入し生物は姿を消した。しかし、近年、水の中和法が試みられ、1991年(平成3)玉川酸性水中和処理施設が本運転を開始、魚影もみられるようになった。かつて鱒(ます)漁に使用された丸木舟は、国の重要有形民俗文化財として田沢湖郷土史料館に保存される。
湖岸には一大凝灰岩盤の突出した御座石(ござのいし)、伝説の辰子(たつこ)姫の像などがあり、田沢湖抱返(だきがえ)り県立自然公園になっている。湖一周の定期バスがあり、東岸の白浜からは冬期をのぞき湖上一周の遊覧船も発着する。
[宮崎禮次郎]
秋田県中東部、仙北郡(せんぼくぐん)にあった旧町名(田沢湖町(まち))。現在は、仙北市の東半分を占める地域。旧田沢湖町は、1956年(昭和31)生保内(おぼない)町と神代(じんだい)、田沢の2村が合併して成立。2005年(平成17)角館町(かくのだてまち)、西木村と合併して市制施行、仙北市となった。JR田沢湖線(秋田新幹線)、国道46号、341号が通じる。中世は戸沢氏の支配下、江戸時代は秋田藩佐竹北家の管轄下にあった。東部は駒ヶ岳(こまがたけ)など奥羽山脈の山々で、田沢湖の東部を南流する玉川流域にわずかに耕地が開けるが、地域の大部分は山地である。豪雪地帯で、豊富な水を利用して水力発電所が各所にある。林業への依存度が高く、木材のほか、シイタケ、ナメコ、クリ、山菜を特産する。北東部は十和田八幡平(はちまんたい)国立公園域で乳頭(にゅうとう)温泉郷、田沢湖高原温泉、玉川温泉などがあり、田沢湖、抱返(だきがえり)渓谷は県立自然公園で、観光に力を注いでいる。玉川温泉の北投石は特別天然記念物。農家の草彅(くさなぎ)家住宅は国指定重要文化財。
[宮崎禮次郎]
『『田沢湖町史』(1966・田沢湖町)』▽『『新田沢湖町史』(1997・田沢湖町)』
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