物体に働く重力の大きさ。重量ともいう。地上の物体が受ける重力は、地球が物体に及ぼす万有引力と、地球の自転による遠心力の合力であるが、どちらも物体の質量に比例するので、重力も質量に比例する。その証拠に、空気の抵抗をなくして完全に重力だけで落下させた場合、すべての物体はまったく同じ速さで落ちていく。一定の場所であまり高くない所から落とす場合の運動は、一定の加速度g(g=9.8m/s2 重力加速度という)をもつので、運動の法則により、質量mキログラムの物体にはmgニュートンの重力が作用していることになる。それで、質量を測るには、重さを測って標準物体と比べることが多い。質量は慣性の大きさを表す量であるから、質量の大きい物体は持ち上げたときに重く感じるだけでなく、たとえば摩擦のない滑らかな水平面上で水平に動かしたり止めたりするときにも手ごたえが大きく、鈍重という意味の「重さ」を感じる。月の表面などへもっていけば、下向きの重力はずっと小さくなるが、水平方向の手ごたえはまったく同じである。そういう意味で、質量mは物体に固有な量で、どこへもっていっても同じであるが、重さmgはそれほど普遍的ではない。重さを言い表すとき、mgニュートンのことをmキログラム重とかm重量キログラムということが多い。なお、物体を流体中に入れると浮力が働くので、真の重さから浮力を引いた残りを見かけの重さとして感じる。
[小出昭一郎]
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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