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量子固体 りょうしこたいquantum solid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

量子固体
りょうしこたい
quantum solid

原子間結合力に比べて,量子力学零点エネルギーの効果が無視できない固体。固体ヘリウムはその一例である。ヘリウム4,ヘリウム3は飽和蒸気圧下では絶対零度まで液体の状態にある量子液体であるが,極低温でヘリウム4は 25気圧,ヘリウム3は 30気圧以上に加圧すると固化する。固体ヘリウムは,原子量が小さいため零点エネルギーが大きく,一方希ガスであって分極率が小さいため,原子間結合を与えるファン・デル・ワールス力が小さいので,量子効果が大きく,特異な性質を示す。たとえば,極低温でも原子が格子点に局在せず互いに位置を交換している状態にある。その結果,大きな交換相互作用で固体ヘリウム3の核スピン系は約 1mKの温度で核整列する。また,中性子星の中心部では,高密度の核物質が核力によって固化した量子固体になっているという現象論的モデルが提唱されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

りょうしこたい【量子固体 quantum solid】

固体の構造をミクロにみると,多数の原子が規則正しく並んでいる。しかし,原子は静止しているわけではなく,所定の位置を中心として前後,左右,上下に振動している。固体を冷やすと原子の振動の振幅は減少するが,量子力学によると,最低の温度である絶対0度(0K)まで冷やしても振動が残る。これを零点振動と呼ぶ。零点振動の存在は量子力学に特徴的なことであり,このため,他の多くの固体に比べて零点振動が異常に大きい固体ヘリウムをとくに量子固体と呼ぶ。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

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