出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
「きんときやま」ともいう。神奈川県南西部、足柄下(あしがらしも)郡箱根町(はこねまち)の北端にそびえる山。箱根町、南足柄市、小山(おやま)町(静岡県)の境にあたり、静岡県境をなす。箱根火山の古期外輪山の最高峰で、標高1212メートル。古くは猪鼻岳(いのはなだけ)とよばれていたが、童話や童謡の主人公「足柄山の金太郎」として名高い坂田公(金)時(さかたのきんとき)が山姥(やまうば)と住んでいたという伝説があり、また公時が奥州征討から帰った源頼光(みなもとのよりみつ)にその力量を認められた地とも伝えられ、明治以後、金太郎が小学校教科書にのせられてからは金時山とよばれるようになった。山麓(さんろく)に金時神社があり、5月5日に金時祭が行われる。
金時山はまた明治初期に、日本で最初に近代植物分類学の研究が行われた所としても有名。フランス人サバチエPaul A. L. Savatier(1830―1891)の金時山基本標本や、ロシア人マキシモビチKarl Ivanovich Maksimovich(1827―1891)の金時山頂のハコネコメツツジの研究報告(1870)は、その先駆的業績。5月に開花するゴヨウツツジは「金時のウバツツジ」とよばれる。またこの山中には声の仏法僧(ぶっぽうそう)(コノハズク)をはじめ、野鳥や昆虫も多い。山頂の金時茶屋からの展望は広大。小田原駅から仙石(せんごく)までバス約40分。下車後姥(うば)ヶ茶屋―乙女(おとめ)峠―長尾山―金時山のハイキングコースがある。
[浅香幸雄 2018年9月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…火山基底長径は30km,体積は96km3(日本の火山中第7位)の大きさをもち,新旧二重のカルデラと神山,駒ヶ岳などの7個の中央火口丘群よりなり,中央火口丘群とカルデラ西壁との間に芦ノ湖を抱く。古期カルデラの外輪山は明星ヶ岳(924m),明神ヶ岳(1169m),金時山(1213m),三国山(1102m),大観山(1014m),白銀(しろがね)山(993m)を連ねた標高900~1200m,長径12km,短径10kmのほぼ三角形状の尾根よりなる。新期カルデラの外輪山は,その西縁を古期カルデラと共有する長径12km,短径6kmの環状尾根よりなり,東縁は浅間(せんげん)山(802m),鷹巣(たかのす)山(834m),屛風山(948m)を連ねた標高800~900mの平頂尾根で境される。…
※「金時山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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