金時山(読み)きんときやま

精選版 日本国語大辞典 「金時山」の意味・読み・例文・類語

きんとき‐やま【金時山】

神奈川・静岡県境にある、箱根火山外輪山中の最高峰標高一二一三メートル。坂田金時伝説の地。

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デジタル大辞泉 「金時山」の意味・読み・例文・類語

きんとき‐やま【金時山】

神奈川・静岡県境にあり、箱根山外輪山中の最高峰。標高1213メートル。坂田金時の伝説の地。

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日本歴史地名大系 「金時山」の解説

金時山
きんときざん

南足柄市と足柄下あしがらしも郡箱根町・静岡県の境にそびえ、標高一二一二・五メートル、箱根外輪山の最高峰。箱根温泉の案内書「七湯の枝折」(文化八年)に「足柄八重山公時山之図」として紹介され、「風土記稿」には猪鼻いのはなヶ嶽あるいは公時きんとき山とあるが、江戸時代の史料では「猪鼻ヶ嶽」が一般に使われ、公時・金時が混用された。文政三年(一八二〇)編の「駿河記」によれば「山上に猪鼻社・金比羅社あり、山麓の村々で相談して山頂に祠を建て、猪鼻権現を勧請す、皆その村の方へ祠をむけて建てる、およそその数二十余り」という信仰の山であった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金時山」の意味・わかりやすい解説

金時山
きんときざん

「きんときやま」ともいう。神奈川県南西部、足柄下(あしがらしも)郡箱根町(はこねまち)の北端にそびえる山。箱根町、南足柄市、小山(おやま)町(静岡県)の境にあたり、静岡県境をなす。箱根火山の古期外輪山の最高峰で、標高1212メートル。古くは猪鼻岳(いのはなだけ)とよばれていたが、童話童謡の主人公「足柄山金太郎」として名高い坂田公(金)時(さかたのきんとき)が山姥(やまうば)と住んでいたという伝説があり、また公時が奥州征討から帰った源頼光(みなもとのよりみつ)にその力量を認められた地とも伝えられ、明治以後、金太郎が小学校教科書にのせられてからは金時山とよばれるようになった。山麓(さんろく)に金時神社があり、5月5日に金時祭が行われる。

 金時山はまた明治初期に、日本で最初に近代植物分類学の研究が行われた所としても有名。フランス人サバチエPaul A. L. Savatier(1830―1891)の金時山基本標本や、ロシア人マキシモビチKarl Ivanovich Maksimovich(1827―1891)の金時山頂のハコネコメツツジの研究報告(1870)は、その先駆的業績。5月に開花するゴヨウツツジは「金時のウバツツジ」とよばれる。またこの山中には声の仏法僧(ぶっぽうそう)(コノハズク)をはじめ、野鳥昆虫も多い。山頂の金時茶屋からの展望は広大。小田原駅から仙石(せんごく)までバス約40分。下車後姥(うば)ヶ茶屋―乙女(おとめ)峠―長尾山―金時山のハイキングコースがある。

[浅香幸雄 2018年9月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金時山」の意味・わかりやすい解説

金時山
きんときざん

神奈川県と静岡県の境にある山。箱根山の外輪山の北端にあたる。標高 1212mで,外輪山では最も高い。古期外輪山に第1期カルデラ形成前にできた寄生火山。山名は源頼光の四天王の一人坂田公時が住んでいたという伝説による。頂上からは南方に中央火口丘や芦ノ湖,西方に富士山を展望できる。北方に足柄峠,南方に乙女峠があり,ハイキングコースとなっている。

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世界大百科事典(旧版)内の金時山の言及

【箱根山】より

…火山基底長径は30km,体積は96km3(日本の火山中第7位)の大きさをもち,新旧二重のカルデラと神山,駒ヶ岳などの7個の中央火口丘群よりなり,中央火口丘群とカルデラ西壁との間に芦ノ湖を抱く。古期カルデラの外輪山は明星ヶ岳(924m),明神ヶ岳(1169m),金時山(1213m),三国山(1102m),大観山(1014m),白銀(しろがね)山(993m)を連ねた標高900~1200m,長径12km,短径10kmのほぼ三角形状の尾根よりなる。新期カルデラの外輪山は,その西縁を古期カルデラと共有する長径12km,短径6kmの環状尾根よりなり,東縁は浅間(せんげん)山(802m),鷹巣(たかのす)山(834m),屛風山(948m)を連ねた標高800~900mの平頂尾根で境される。…

※「金時山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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