「相模風土記」に、この山の杉の木で造った舟は足が軽いため名づけられたとある。
南足柄市と
「古事記」には倭建命が東征の際、山麓の
と、古代にはこの山の木が船材として利用されていたことが知られる歌や、東国から防人として筑紫に赴く男たちにとって、この地が郷里に別れを告げる詠嘆の地であったことを示す歌などがある。ちなみに「続歌林良材集」は「相模国風土記に云」として、「
小山町と神奈川県南足柄市や
「万葉集」には上総国の朝集使大原真人今城が京に向かうときに、郡司の妻女がはなむけに贈った「足柄の八重山越えていましなば誰をか君と見つつ偲はむ」(巻二〇)をはじめとして山々が重なり越えるに困難だったことを詠みこんだ多くの歌が載る。「足柄の安伎奈の山」「足柄の和乎可鶏山」などの山名もみえるが、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
神奈川・静岡県境にある足柄峠を中心とする山地。南足柄市矢倉沢(やぐらさわ)地蔵堂一帯をいう。一説に金時山(きんときざん)をさすともいわれる。現在、足柄峠以南の稜線(りょうせん)沿いに県道矢倉沢・仙石原(せんごくはら)線が通じ、富士山、箱根外輪山の北部一帯、北方は酒匂(さかわ)川中流の谷、東方に足柄平野など、神奈川、静岡両県にわたって展望は広大である。基盤は箱根火山系の噴出物で、表層は富士山の火山灰土。また、ウバメガシやトベラ林などがここを特色づける植生である。一帯は早くからの足柄林業地。また足柄山は、歌枕(うたまくら)として知られ、古来、足柄山、足柄嶺(あしがらのみね)、足柄のみ坂などとして多くの歌に詠まれている。そのほか、伝説、説話は数多く、坂田金時・山姥(やまうば)の伝説はとくに有名。
[浅香幸雄]
…神奈川と静岡の県境,箱根外輪山の一部をなす金時山の北斜面,いわゆる足柄山の山中にある峠。標高759m。…
※「足柄山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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