金毘羅(読み)コンピラ

デジタル大辞泉 「金毘羅」の意味・読み・例文・類語

こんぴら【金毘羅/金比羅】

《〈梵〉kumbhīraの音写。わにの意》インドのガンジス川にすむ鰐を神格化した仏教守護神。魚身で蛇形をし、尾に宝玉を蔵するという。十二神将宮毘羅くびら大将、十六善神禁毘嚕こんぴらと同体。航海の安全を守る神とされ、香川県の琴平に祭られている。
金刀比羅宮ことひらぐう」の異称。こんぴらさま。
(金毘羅)笙野頼子長編小説。平成16年(2004)刊。翌平成17年(2005)、第16回伊藤整文学賞受賞。

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精選版 日本国語大辞典 「金毘羅」の意味・読み・例文・類語

こんぴら【金毘羅・金比羅】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] ( [梵語] Kumbhīra 「宮毘羅(くびら)」とも訳す。鰐の意 ) 仏語。薬師十二神将の一つ。また、仏法守護の夜叉神王の上首。武装し、忿怒の姿をとるが、持物は一定しない。大物主神(おおものぬしのかみ)はこの垂迹(すいじゃく)の姿といい、海神として信仰され、香川県の象頭山(ぞうずさん)の金刀比羅(ことひら)宮にまつられている。金毘羅大将。金毘羅童子。
      1. [初出の実例]「先づ優婆離を度給ふ、次に阿那律、次に跋提、次に難提、次金毗羅、次難陁等の六人也」(出典:今昔物語集(1120頃か)一)
      2. [その他の文献]〔翻訳名義集‐二・鬼神〕
    2. [ 二 ] 四国、讚岐(香川県)の金刀比羅宮の俗称
      1. [初出の実例]「金比羅の市は仕廻(しまい)、是からどふ働ふぞい」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)五)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [ 一 ][ 二 ]縁日が毎月一〇日であるところから ) 近世、数字の一〇をいう。
    1. [初出の実例]「金比羅は湯銭成田は髪結銭」(出典:雑俳・柳多留‐一一一(1830))

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「金毘羅」の解説

金毘羅
こんぴら

サンスクリットのクンビーラの音訳。宮毘羅(くびら)とも書き,威如王・蛟竜(こうりょう)と訳される。薬師如来の神力をもち衆生を守護する十二神将の一つ。また般若(はんにゃ)守護十六善神の随一ともされる。香川県琴平町の象頭山(ぞうずさん)の金刀比羅宮(ことひらぐう)に勧請され,海上の安全を守る海神として祭られた。もともとの祭神である大物主(おおものぬし)神はその垂迹(すいじゃく)として金毘羅大権現と称され,多くの信仰を集めて金毘羅参詣も盛んに行われた。

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