金海貝塚(読み)きんかいかいづか

精選版 日本国語大辞典 「金海貝塚」の意味・読み・例文・類語

きんかい‐かいづか‥かひづか【金海貝塚】

  1. 朝鮮の慶尚南道金海市鳳凰洞にある石器時代から鉄器時代貝塚。明治四〇年(一九〇七)以来、日本人により数回発掘される。赤色灰色の素焼土器鉄斧鉄刀子貨泉や炭化した米粒、または甕棺(かめかん)箱式石棺などが発見された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金海貝塚」の意味・わかりやすい解説

金海貝塚
きんかいかいづか

韓国(大韓民国)、慶尚南道(けいしょうなんどう/キョンサンナムド)金海(きんかい/クムヘ)市にある、朝鮮半島南部における原三国時代の代表的な貝塚。土器は金海式土器とよばれる叩き文(たたきもん)のある赤褐色素焼、黝青(ゆうせい)色陶質土器が主体である。鉄斧(てっぷ)や多数の骨角器(鹿角(ろっかく)製鉄刀子柄(とうすえ)、骨鏃(こつぞく)、骨針など)も出土しているが、石器はきわめて少ない。注目される遺物としては貨泉(かせん)、炭化米、ガラス製棗玉(なつめだま)がある。貨泉(8~24)から年代の一端は判明するが、土器からみると、原三国時代を中心に無文土器時代末期と三国時代のものも一部含む長期間の貝塚である。一方、この貝層下から甕棺(かめかん)墓、箱式石棺墓、支石墓などが検出されている。甕棺は細形銅剣、銅鉇(やりがんな)、碧玉(へきぎょく)製管玉(くだたま)を、箱式石棺は磨製石鏃、丹塗(にぬり)磨研壺(つぼ)を伴い、支石墓とともに無文土器時代に属する。なお、甕棺が北九州の弥生(やよい)前期末のそれに相当すること、金海式土器が対馬(つしま)、壱岐(いき)、北九州で出土していることから、弥生時代から古墳時代にかけての海峡を越えた交流がうかがえる。

[定森秀夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金海貝塚」の意味・わかりやすい解説

金海貝塚
きんかいかいづか
Kimhae

韓国慶尚南道金海郡金海邑にある高さ約 18m,長さ約 200m,幅約 70mの台地上の貝塚。およそ1~4世紀のものとされる。貝は,鹹水産貝 (はまぐり,かきなど) が多い。遺物は石器がほとんどなく,鉄斧,鉄刀子,骨製品,赤色素焼土器,灰色土器,黝色陶器などがある。特に鉄器とともに出土した王莽の貨泉と,炭化した米の出土は重要である。そのほか箱形石棺と甕棺が発掘され,前者からは丹塗丸底壺,磨製石鏃が,後者の内外からは管玉,細形銅剣,青銅尖頭器などが発見された。

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