金融制度調査会(読み)きんゆうせいどちょうさかい

改訂新版 世界大百科事典 「金融制度調査会」の意味・わかりやすい解説

金融制度調査会 (きんゆうせいどちょうさかい)

金融制度改革を事前に十分検討するため,政府は1926年以来4回にわたって金融制度調査会を設置してきた。現在の金融制度調査会は,56年6月7日に金融制度調査会設置法により設置され,大蔵省の付属機関として大蔵大臣諮問に応じ,金融制度の改善に関する重要事項を審議し,これに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議することを任務としている。委員定員が20人以内で,金融または産業に関して深い知識と経験を有する者その他学識経験者から大蔵大臣が任命するほか,特別の事項を調査審議する場合には臨時委員を任命することができる。設置当時急務とされていた準備預金制度答申に始まり,現在までに多くの重要な答申が行われてきた。75年5月に銀行に関する法令や制度およびこれらに関連する事項について大蔵大臣より諮問が行われ,79年6月に〈普通銀行のあり方と銀行制度の改正について〉,80年11月に〈中小企業金融専門機関等のあり方と制度の改正について〉の答申がまとめられ,これらの答申に基づき現行の新銀行法が制定された。その後は経済・金融環境の変化を踏まえ,国民経済的にみて望ましい今後の金融のあり方を検討しており,83年4月には金融の自由化7月には金融機関技術革新,84年6月には金融の国際化に関する諸問題について報告書が提出された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金融制度調査会」の意味・わかりやすい解説

金融制度調査会
きんゆうせいどちょうさかい

1956年(昭和31)施行の金融制度調査会設置法に基づいて、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議するために大蔵省に付属する機関として設置された調査会。1998年(平成10)金融再生委員会を経て、2001年省庁再編に伴い、金融審議会に引き継がれた。大蔵省所管当時は、大蔵大臣の諮問に応じて、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議し、これに関し必要と認められる事項について大蔵大臣に答申を提出することによって建議されていた。調査会は、委員20名以内で構成され、その互選によって会長が決められた。委員は、金融または産業に関して深い知識と経験を有する者および学識経験のある者のなかから大蔵大臣が任命した。また、当該特別事項に関して深い知識と経験を有する臨時委員をそのつど大蔵大臣が任命した。なお、この制度以前にも、1926年(大正15)以降、金融制度に関する調査会がたびたびつくられ、金融制度の改善に重要な役割を果たしてきた。

[原 司郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金融制度調査会」の意味・わかりやすい解説

金融制度調査会
きんゆうせいどちょうさかい

日本の金融制度の改善に関する重要事項を調査,審議するため,1956年6月に金融制度調査会設置法に基づき新設された大蔵省の付属機関。第1次世界大戦後にも同名の調査会が設置されたり (「銀行法」を制定) ,また第2次世界大戦直後にも何度か同名の調査会が設けられたことがあるが,55年以降日本の金融正常化が各界から急務として指摘されるようになり,日本の金融制度の根本的諸問題を検討する必要から設立された。準備預金制度,中央銀行制度,中小企業金融制度,預金保険制度,銀行制度に関する答申をはじめとして,数多くの調査事項を審議し答申を行い,そのいくつかは法律として公布された。日本版ビッグバン (金融制度改革) に伴い,新たな制度への対応のため 98年6月同調査会のほか証券取引審議会,保険審議会が廃止,再編され,金融審議会として発足した。さらに,2001年1月の中央省庁改編に伴い,金融庁の付属機関となった。

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