鈴木三郎助(読み)すずきさぶろうすけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鈴木三郎助」の意味・わかりやすい解説

鈴木三郎助
すずきさぶろうすけ
(1867―1931)

実業家。神奈川県葉山に初代三郎助の長男として生まれる。幼名泰助。父の死で、1884年(明治17)に家督相続。約3年間耕余塾(陽明学)で学んだのち、家業の雑穀酒類を商う。88年大日本製薬の村田技師の助言で、母とともに結晶沃度(ようど)の製造に成功した(のちに鈴木製薬所に発展)。原料海藻購入の機縁で上総(かずさ)(千葉県)の森矗昶(のぶてる)と会い、のちに共同事業経営へと発展した。一方、1908年(明治41)には池田菊苗(きくなえ)が開発した独特の調味料「味精」の特許権共有者となり、翌年神奈川県逗子(ずし)に工場を建設し「味の素(あじのもと)」の名で売り出した。このほか創設した企業に、東信電気、千曲(ちくま)川電力犀川(さいかわ)電力、昭和肥料(森と共同)がある。

[西村はつ]

『故鈴木三郎助君伝記編纂会編・刊『鈴木三郎助伝』(1932)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鈴木三郎助」の意味・わかりやすい解説

鈴木三郎助
すずきさぶろうすけ

[生]慶応3(1867).12.27. 相模
[没]1931.3.29.
化学調味料「味の素」の製造者。 1892年弟の忠治と共同経営で鈴木製薬所を開業,海藻からヨード原料を製造していたが,1909年東京大学教授池田菊苗が発明したグルタミン酸塩主成分とする化学調味料の工業化を依頼されて成功,鈴木商店味精部で商品生産し,「味の素」の商標名で国内,アジア各国に販売して大成功を収めた。鈴木商店は第2次世界大戦後の 46年,味の素株式会社へ改組

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世界大百科事典(旧版)内の鈴木三郎助の言及

【味の素[株]】より

…〈味の素〉で知られる総合食品化学会社。2代目鈴木三郎助とその家族によって1888年創業された鈴木製薬所が前身。神奈川県葉山で,ヨード製造を家内工業で行っていたが,化学薬品にも手を広げ1907年合資会社鈴木製薬所に改組(1912年鈴木商店)。…

※「鈴木三郎助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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