鉄は熱いうちに打て(読み)テツハアツイウチニウテ

デジタル大辞泉の解説

鉄(てつ)は熱いうちに打て

Strike while the iron is hot.
鉄は、熱して軟らかいうちに鍛えよ。精神が柔軟で、吸収する力のある若いうちに鍛えるべきである、というたとえ。
物事は、関係者の熱意があるに事を運ばないと、あとでは問題にされなくなるというたとえ。

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精選版 日本国語大辞典の解説

てつ【鉄】 は=熱(あつ)い[=赤(あか)い]うちに打(う)

(Strike while the iron is hot の訳語。鉄は熱していろいろの形に作りあげるところから)
① 成長した後では、十分な教育効果があがらないから、若いうちにこそ鍛練しておけ。
※ものの見方について(1950)〈笠信太郎〉日本「鉄は熱いうちに打たねばならぬ。方向を見失っているいまこそ、教育が最大の重要さをもっているように思われる」
② 関係者の関心が薄らがないうちに対策をたてないと、あとからでは問題にされなくなるから、時機を失しないように処置をせよ。
※水中花(1979)〈五木寛之〉二「やる気になったら、すぐ飛び込んだほうがいいです。鉄は熱い内に打て、ってね」

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ことわざを知る辞典の解説

鉄は熱いうちに打て

鉄は熱いうちに打って、成形しなくてはならない。物事には時機があり、好機を逸してはならないことのたとえ。また、教育や鍛練は若いうちにすべきであるというたとえ。

[使用例] 「は熱い中に打てっていうんです」永すぎた春になるなというアドバイスは、要介の苦い経験から来るものかも知れなかった[平岩弓枝*女たちの家|1980]

[使用例] 大将が十歳の年、大将の一家は郷里へ帰ることになった。其の時大将は江戸から大阪まで、馬やかごに乗らず、両親と共に歩いて行った。当時大将の体は、もうこれだけ丈夫になっていたのである。に鉄は熱いうちにきたえなければならぬ[尋常小学国語読本(国定第三期)巻八|1921]

[解説] よく知られる表現ですが、西洋で広く使われることわざの翻訳です。日本では、江戸後期のオランダ語辞典「和蘭字彙」に記載され、オランダ語から入って流布した珍しい例といえるでしょう。のちに英語やフランス語などからも入り、一部に異形を残しながら広く浸透し、当初は好機を逸してはならないとする原義どおりに使われていました。かつては町や村に鍛冶屋があり、赤熱した鉄を打つ光景をよく目にしたので、受け入れられやすかったものでしょう。
 その後、用例に挙げた国定国語教科書(第三期)などで、大将の少年時代のエピソードとともに長く教えられた結果、若者の教育や鍛練に限定した日本独自の意味・用法が派生しています。

〔異形〕鉄は熱いうちに鍛えよ/鉄は赤いうちに打て

〔英語〕Strike while the iron is hot.

〔フランス〕Il faut battre le fer pendent qu'il est chaud.

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