鳥獣魚肉を鉄板や浅いなべで焼き,または煮て食べる料理。《料理早指南》第4編(1804)には,ガン,カモ,カモシカなどの肉をたまりにつけ,使い古した唐(から)すきの上で焼くとし,《素人庖丁》初編(1803)では唐すきの代りになべやイタヤガイの殻を用いてもよいとしており,バーベキュー的な野外料理にはじまったものと思われる。現在ではおもに牛肉を用いるなべ料理をこの名で呼ぶが,明治初年文明開化の風潮に伴って普及しはじめたころから,関東ではこれを牛(ぎゆう)なべと呼んだ。それが東西ともにすき焼の呼称に統一されたのは大正になってからだとされる。ふつう牛肉や鶏肉にネギ,シュンギク,キノコ類,豆腐,白滝,麩などをとり合わせて,しょうゆ,みりん,酒,砂糖などを合わせた割下(わりした)を注いで煮て食べる。魚を用いる魚(うお)すき(沖すきとも)の場合は,やや淡味にし,野菜はセリ,ミズナ,ミツバなどを用いるとよい。
執筆者:松本 仲子+鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…77年ごろには牛なべをあきなう店が急増し,東京では488軒を数えたというが,とくに大衆的普及にあずかって力のあったのは81年ごろ〈いろは四十八店〉を目標に,木村荘平(木村荘八らの父)が開業した〈いろは〉であった。元来牛なべの呼称は関東のものであり,関西では〈すき焼〉と呼んでいた。それが東西ともにほぼ〈すき焼〉の呼称に統一されるようになったのは,大正期のことだという。…
※「鋤焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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