能舞台の一部。橋掛りの突き当り,揚幕の奥,楽屋とのあいだに位置する板敷きの部屋。大きな姿見の鏡が備えつけてあり,諸役は楽屋で装束を付け終えると鏡の間の鏡に向かい,姿をととのえ,心をしずめて登場を待つ。とくにシテは鏡の前で床几にかけ,ここで面(おもて)をつける。お調べと称し,囃子方が出演前に一定の奏法で音色の調子を合わせるのも鏡の間で行う。また,《翁》上演の前には,鏡の間に祭壇を設け,いわゆる翁飾りをしつらえ,全役が集まり,お調べのあと杯事(さかずきごと)を行う。なお鏡の間の幕口に近い壁には見所を見通せる櫺子(れんじ)窓があり,これを物見窓といい,奉行窓,あらし窓とも呼ぶ。
→能舞台
執筆者:羽田 昶
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…地謡座の奥にある貴人口(きにんぐち)と正面の白洲梯子(しらすばしご)は現在の演能では使用しない。揚幕の奥は鏡の間と呼ぶ板の間で,大きな鏡が据えてある。楽屋で扮装を終わった演者は,この鏡の前で能面をつけ,姿を整えて出を待つ。…
※「鏡の間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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