鹿児島県南部、揖宿郡(いぶすきぐん)にあった旧町名(開聞町(ちょう))。現在は指宿(いぶすき)市の南西部を占める。旧開聞町は1955年(昭和30)町制施行。2006年(平成18)指宿市に合併。旧町名は開聞岳に由来する。旧町域は薩摩半島(さつまはんとう)南端に位置し、JR指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線、国道226号が通じる。北部は池田湖と接し、南部に開聞岳がそびえ、山麓(さんろく)から平地にかけては火山灰土壌(コラ層)で覆われる。
古代『和名抄(わみょうしょう)』には開聞郷とあり、開聞岳北麓の枚聞神社(ひらききじんじゃ)は延喜式内社(えんぎしきだいしゃ)で、薩摩国一宮(いちのみや)として広く信仰を集めた。基幹産業は畑作中心の農業でサツマイモ、タバコ、エンドウを栽培するほか、ブロイラーやブタ、肉用牛などの畜産が盛んである。開聞岳を中心に観光地も多く、開聞山麓自然公園や、そうめん流しで有名な唐船(とうせん)峡、枚聞神社、花瀬望比公園など薩摩半島南部観光の一翼を担っている。なお、枚聞神社には国の重要文化財に指定された松梅蒔絵櫛笥(まつうめまきえくしげ)がある。
[平岡昭利]
『『開聞町郷土誌』(1973・開聞町)』
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