もともと関東平野の台地や丘陵を広く覆う赤土とよばれる赤褐色の土壌のうち、東京周辺のものにつけられた土壌学上の名称。東京周辺の赤土は、砂、シルト、粘土がほぼ等量混じり合っており、土壌学上ロームloamとよばれる粒度組成をもっていたため、関東ロームという名称が与えられた。しかし、同じようなものは関東地方以外や海外にもある。身近な存在であるが、その成因についてはさまざまな議論がなされてきている。かつては、火山灰層などが地表からの土壌化作用を受けて生じた残積性土壌であるという説があった。しかし、この説は現在では否定されており、関東ローム層(および同様の地層)は、最上部の黒土の部分を含め、風で運ばれた細粒物質が少しずつ地上に累積的に降下堆積(たいせき)して形成されたものであると考えられている。風で運ばれる可能性のある細粒物質には、火山噴火でもたらされた火山灰と裸地から風で舞い上がった風塵(ふうじん)がある。風塵には、火山の火口周辺の裸地から舞い上がったもの、火山以外の裸地から舞い上がったもの、黄砂(こうさ)のような遠方の大陸からもたらされたものがある。これらのうち、おもに何が累積的に堆積して関東ローム層をつくったかについては、噴火による火山灰とする説と火口近傍の裸地から舞い上がった風塵とする説とがある。
関東ローム層は、堆積している河成段丘や海成段丘の形成時代順にいくつかの層準の地層に区分される。南関東では古いほうから、多摩ローム、下末吉ローム(しもすえよしろーむ)、武蔵野ローム(むさしのろーむ)、立川ロームの4層に区分されている。
関東ローム層の量は、中期更新世以降堆積したものだけでも膨大である。この膨大な量の関東ロームは、関東平野の埋積を速め、陸域を拡大したばかりでなく、台地平坦(へいたん)面を侵食から守り、丘陵化を遅らせた。このように、関東ロームは関東平野の地形発達史にも大きな影響を与えている。
[伊藤谷生・笠間友博]
Kanto Loam Formation
関東地方西縁の富士・箱根・愛鷹などの諸火山,北縁の浅間・榛名・赤城・男体などの諸火山から関東平野に降下堆積した更新世中期以降の火山砕屑物やその風成二次堆積物の総称。当初,東京近郊において,砂・シルト・粘土がほどほどに混じりあった土壌学上のロームに当たっていたため,成因不明なまま関東ロームと呼称された。「ローム」はD.Brauns(1881)命名。関東ローム層の地質学的な研究は,主として武蔵野台地や多摩丘陵など多摩川流域で進められ,年代の異なる段丘を覆う関係や埋没土層などの時間間隙より,上位から立川・武蔵野・下末吉・多摩の4ローム層に区分。その後,大磯丘陵などでの研究が進み,下末吉・多摩ローム層に相当する部分は,上位から吉沢・多摩上部(土屋)・多摩中部(七国峠・早田)・多摩下部(藤沢・下庭・雑色)・多摩最下部(柄沢)の各ローム層に細分。大磯丘陵では全層厚約300m。参考文献:関東ローム研究グループ(1965) 関東ローム,築地書館
執筆者:羽鳥 謙三・上杉 陽

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関東地方とその周辺域の更新世中期~後期に形成された段丘や丘陵をおおう風成堆積物の総称。通常,スコリアや軽石とよばれる火山の噴火がもたらした粗い粒子からなる層と,黒色または褐色をおびた細粒の堆積物とからなる。後者は遠方火山の噴火堆積物や周辺域の裸地からの砂ぼこりなどが,長期にわたり徐々に堆積したものである。黒色の場合には黒ボク,褐色の場合には褐色風化火山灰土またはロームなどとよばれ,その境界は1万年前前後であることが多い。両者は過去の地表面の重なったものであることから,考古遺物が出土することもある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…関東地方に広く発達する赤土層で,関東ローム層ともよばれ,東京では,山手のような洪積台地,段丘や丘陵をおおっているが,下町の低地(沖積地)には分布しない。このローム層の構成物は火山灰で,風化を受けて粘土質になっており,鉄分が酸化して赤色を呈する。…
※「関東ローム層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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