風塵(読み)フウジン

デジタル大辞泉 「風塵」の意味・読み・例文・類語

ふう‐じん〔‐ヂン〕【風×塵】

風で舞い立つちり。きわめて軽いもののたとえにもいう。「風塵を避ける」
「命を―よりも軽くして」〈太平記・一七〉
わずらわしい俗世間。また、こまごました雑事。「風塵の外に暮らす」
戦乱
「―遠し三尺の剣は光曇らねど」〈晩翠・星落秋風五丈原〉
[類語]俗世間世俗俗界塵界濁世

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精選版 日本国語大辞典 「風塵」の意味・読み・例文・類語

ふう‐じん‥ヂン【風塵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 風や塵。また、風に吹かれて舞い立つ塵。ごく軽少なもののたとえにもいう。
    1. [初出の実例]「万里風塵別、三冬蘭蕙衰」(出典:懐風藻(751)贈旧識〈石上乙麻呂〉)
    2. [その他の文献]〔漢書‐食貨志〕
  3. わずらわしくきたないこと。また、そのようなもの。特に、わずらわしい世の中。汚れたうき世。俗世間。また、世上の雑事。俗事
    1. [初出の実例]「莫愁、久住風塵裏」(出典:性霊集‐一(835頃)贈野陸州歌)
    2. [その他の文献]〔任昉‐王文憲集序〕
  4. 世の騒ぎ。乱れた世。いくさ。兵乱。
    1. [初出の実例]「西海官軍戦未休、風塵何処得閑遊」(出典:雲壑猿吟(1429頃)寄関西故人)
    2. [その他の文献]〔漢書‐終軍伝〕
  5. 官吏の職。官途
    1. [初出の実例]「王公卿相。言詩之座。必列其風塵」(出典:本朝文粋(1060頃)六・申弁官并左右衛門権佐状〈大江以言〉)
    2. [その他の文献]〔晉書‐虞喜伝〕

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普及版 字通 「風塵」の読み・字形・画数・意味

【風塵】ふうじん(ぢん)

風とちり。また、世間の俗事。戦乱。唐・杜甫〔野望〕詩 の風塵、て 天涯の涕、一身遙かなり

字通「風」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風塵」の意味・わかりやすい解説

風塵
ふうじん

強風のために、地表の細かな砂粒などが舞い上げられる現象。立っている人が見通しを妨げられるのを高い風塵、見通しに悪影響がないのを低い風塵という。風塵の程度は、風速だけでは決まらず、土質乾燥の度合いにも支配される。よく肥えた畑の土が風塵となって他の場所に移動させられ、結果として畑の肥沃(ひよく)度が低下することがある。

[平塚和夫]

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世界大百科事典(旧版)内の風塵の言及

【砂丘】より

…礫や粗い砂はよほどの強風でないと動かない。シルトは粒子間の凝集力などのために動きにくいが,いったん動くと上空に舞い上がり,ダスト(風塵)として遠方へ運ばれる。したがって,4~5m/sをこえる風が吹き続けると,砂は表面に沿って動き始め(表面匍行surface creep),やがて,跳ね飛んで移動(跳躍saltation)するようになる。…

※「風塵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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